
写真=坂本康太郎
―盲目の少女・梢役の役作りについて聞かせてください
初めて映画に出たときも盲目の少女の役で、その時にもいろいろな方にアドバイスをいただいたのですが、今回は、共演の樋井明日香さんや青木監督と一緒に盲目の方が通う施設にお邪魔させていただいて、お話を伺ったり白杖の使い方を教わったりして。盲目の方に付き添う際の注意点などを教えていただき、貴重な経験になりました。
―白杖も使いこなしていましたね
道具も、使う方によって個性が出ることがわかりました。今回は、6人ほどの方にお話を伺ったんですが、それぞれ考え方も違ったんです。それは演じる上でもすごく大切なことだなって。この映画を通じて、視覚障害を持った方の生活にも目を向けていただくきっかけになれればいいなと思います。
―梢はちょっとひねくれ者な性格ですね
きっと、もともとの性格でひねくれていた部分があったのかな、と。中学生の頃からの友達である友梨(樋井)との会話を読んでそう思いました。いろいろな物事に対して敏感に感じやすい女の子なんだろうし、目が見える、見えないではないところから関係を作り上げていくほうがいいな、って、明日香ちゃんとたくさん話しました。
―本作は2016年8月の「MOOSIC LAB」で上映し数々の賞を受賞。出来上がった作品を見ていかがでしたか?
撮影のはじめは、出演者やスタッフさんたちの息が合うまでに少し時間がかかったんです。現場で話し合ったりぶつかり合ったりもしたのですが、完成形を見て感動しました。シーンを一個一個みんなで作っていく、どの作品でもそうなのですが、この作品は特にそういうことを改めて感じながら作っている感覚がありました。
―徐々にチームとして成長していくような現場だったんですね
そうですね。なかなかうまくいかなくても、みんなあきらめずに励まし合って作っていった感じでした。だから終わった時は「みんなありがとう!」という感じでしたね。最近、『光と禿』で一緒だったスタッフの方と、ドラマの現場で再会したんですが、当時とはずっと違う雰囲気でがんばってらっしゃって、「ああ、私も成長しなきゃ」って。
―そうやって作り上げた作品、特に注目してほしいポイントは?
梢と友梨ちゃんは、素敵な2人だなぁと思いますね(笑)。撮影していてすごく楽しかったんです。役柄上、友梨ちゃんの顔はほとんど見ていないんですが、会話だけで伝わるものがたくさんあったし、それが画面からも伝わると思います。それに、スギムさんのライブシーンも、普段のライブを見に行くような感覚でぜひ見ていただきたいと思いました。
―スギムさんとの共演はいかがでしたか?
すごく優しい方なんだっていうことが、作品からも伝わってくるんじゃないかなあと思います。ファンの方はライブを通じてよく知っていらっしゃると思うんですが、よりスギムさんに近いスギムさんが『光と禿』の中にはいらっしゃるので、きっと、もっとみんな好きになっちゃうんだろうな、って思います。
―ありがとうございました
岸井ゆきの(きしい・ゆきの)
1992年2月11日、神奈川県生まれ。
2009年のドラマ「小公女セイラ」でデビュー。舞台やドラマ、映画など幅広いジャンルで活躍。2016年は、大河ドラマ「真田丸」や映画『ピンクとグレー』『森山中教習所』など多くの作品に出演。2017年公開の映画『おじいちゃん、死んじゃったって』で映画初主演を務める。