
―作品の中で不思議な存在であるミク役。監督とはどのような話をしましたか?
監督とお話しして、「天国から来た子」「空から降って来た子」…、浮遊感のあるというか、実在するかしないかわからない空気感のある子、という意識をしました。監督が導いてくださったので、自然とそういう存在になれたと思います。
―台本を読んだときの感想はいかがでしたか?
「ト書き」まできちんと書いてあって、もちろん現場で自由にやってみてというシーンもありましたが、監督にイメージがちゃんとあって、うまく導いていただいた感じです。もちろん、やってみないとわからない部分もあるので、そこも楽しみたいと思いながら演じていました。
―衣装も清涼感がありました
監督も「シンプルでいい」とおっしゃっていて、「どこから来たの?」と思わせる、定まらないような宙に浮いているようなイメージで、だから、演じやすかったところもありますね。
―劇中で印象的なシーンはどこですか?
手が印象的な映画だなと思います。人の手って、いろいろ感じるものがあるなと気付かされました。あとは…、短くて切ない「秋」が舞台なので、登場人物それぞれの「秋」を感じていただきたいです。旅立ちとか別れとか、前進とか、それぞれの瞬間があるので、それぞれにとってどんな季節だったんだろうって視点で見ていただけるといいですね。
―撮影現場はどのような雰囲気でしたか?
伊藤洋三郎さんとの共演のシーンが多かったんですけど、撮影現場での雰囲気そのままのような気がしますね。すごく居心地のいい撮影現場で、伊藤さんも佐野和宏さんもたくさんお話ししてくださいましたし、自然に会話できる雰囲気でした。それが作品にもいい影響を与えていたと思います。
―本作だけでなく、作品に取り組むときに気を付けていることは何ですか?
演出家や監督の作品なので、それに応えたいという思いと、見てくださっているお客さんに楽しんでいただきたいという思いですね。自分でも考えるし、やりたいことも出しますけど、コミュニケーションを取っていくことが大事だと思います。そうやって当事者として作り上げた作品を見ていただいて、お客さんに「楽しかった」と言っていただけると本当にうれしいです。
―これからどのようなことに挑戦していきたいですか?
楽しみたいと思って作品を見てくださる方に対して、自分が演じた役を通して伝わったことが、何かのきっかけになってくれるとうれしいです。そういうものを作っているんだって感覚を忘れたくないし、だからこの仕事を続けていられるんだろうなって思います。もちろん、いろいろな役をやってみたいです。「あ、趣里ってこんな子だったんだ」という、まだ出していない部分もありますから(笑)。
―最後にメッセージをお願いします
『秋の理由』は、見る方によって感想の異なる映画だと思うんですけど、登場人物のセリフでも行動でも、どこかに必ず響くポイントがあるので、この登場人物たちが生きている「秋」を感じていただけたらと思います。見終わってどう思ったか、感想を教えていただきたいですね。
―ありがとうございました。
趣里(しゅり)
1990年、東京都生まれ。
2011年、ドラマ「3年B組金八先生ファイナル」でデビュー。その後もドラマ、舞台、映画と幅広く活躍。主な作品に、映画『おとぎ話みたい』『ただいま、ジャクリーン』『恋につきもの』『東京の日』『過激派オペラ』、舞台「大逆走」「アルカディア」など。11月7日から舞台「メトロポリス」に出演予定。
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