
―当初、この映画の話を断ったそうですが、それが「YES」に変わった経緯を教えてください
断っ た理由は、軽薄なファッショニスタとして取上げられたくなかったし、監督のメイズルス氏とは顔見知りではなかったから。再三にわたって電話をしてくる ので、友人のリンダ・ファーゴに話をしたら、彼女にたしなめられたの。その後、また彼から電話があって、ハーレムの彼のオフィスまで会いに行ったんです。 そこで彼と彼の撮影スタッフに会ったのだけれど、撮影スタッフもとても気持ちのいい人たちだったので、出ることに決めたのよ。
―撮影に際して「こうしてほしい」など、あなたからの要望やアイデアがあったのでしょうか?
彼 にはスクリプトも何もなくて、私から提案したアウトラインだけで撮影が始まったの。撮影の時、彼はいつも「あなたが何か興味のあることは? 何かやりた いことがある?」と聞いてきて、その時に私が「これこれがしたい」とか、その時、興味のあることを彼に言って撮影していくというスタイルだったのよ。この 映画の撮影には4年かかったの。
―お仕事の極意、働き続けることの意味や、人との出会いなどについて教えてください
私 はいつも何かしていないとダメなの。一日中、居間に座って何もしないことほどつらいことはないわ。仕事はつらいこともあるけれど、ハードワークであれば あるほど私は楽しくハッピーになれる。私にとってハードワークはすべての良薬ね。人がリタイアを考えるというのは誤りだと思うわ。
―この先ぜひチャレンジしてみたいと思うことは何でしょうか?
何 事もすべてチャレンジだと思っているので、何でも、いつでもすべてが私にとってチャレンジ。チャレンジするのが大好き。私は計画を立てて物事を進めたり しないの。私がやりたいと思ったことを提案すると「やりなさい」と言ってくれる人たちが出てきて、それの繰り返しでやってきたから。94歳になった今で も、いろいろな仕事のお声をかけてくれる人たちがいる。そのことを本当に感謝しているわ。
―この映画を観る人、特に今の若い人たちにメッセージをお願いします
“Know who you are=自分を知ること”、オリジナルであること、そして自分自身であれば、その人ならではのスタイルは自然に生まれてくる。私の展覧会を観た人が私に 「あなたの展覧会を観て、他人と同じように服を着るのはやめたわ」と言ってくれたのだけど、それはとても嬉しい言葉だったわ。私の映画からそういうことを 学んでくれれば嬉しいわ。
―ありがとうございました。