
写真=松林満美
―瑛太さんとのコミカルなかけあいが印象的でした
ずっと付き合っているから、瑛太さん演じるヒデオの奇抜な行動も「日常」になっているんだ、ということを意識しました。「はたしてこれは日常か?」という行動もあるんですが(笑)、自分ならこう言ってしまうな、という感情はいったん置き去りにして、ヒデオさんに付いていきました。
―かなりダメダメなヒデオですが
きっと役作りのためなんですけど、瑛太さんがあるときから、現場に入る私服からしてヒデオっぽいダラっとした服装で私の前に現れるようになったんです(笑)。私は、仕事場ではスーツとか襟付きのシャツとか、きちっとした格好をした方が素敵だなと思っていて、そのことをお話したら、あえてそんな格好をしてこられて(笑)。「これは完ぺきなヒデオだな」と思いました。
―そんな、ヒデオに付いていくカナコを演じるにあたり心がけたことは?
部屋でビールをこぼしたりしたら、普通は「おい!」って気持ちになると思うんですよ(笑)。でも、そういうのも通り越してきた2人なので、言いたいことだけとりあえず言って、疲れたから寝る、というカナコの「日常」を優先して演じるようにしました。
―監督や共演者さんからのアドバイスなども?
「あなたは彼の応援団の団長なんだよ」というアドバイスをいただきました。大前提が見守るスタンスなんですよね。「それじゃあ尊敬できなくなっちゃうよ」ってセリフがあるように、男の人に逃げ道を与えられる女性って素敵だなと思って、そのアドバイスがすんなり入ってきました。だからこそ成功したときに一緒にたくさん喜べるというのもありますよね。
―ナチュラルな演技がすばらしかったです
ありがとうございます。朝から晩まで撮影があってヘトヘトだった瞬間もあったんですが、逆にそういうときのほうがいい顔をしていたりするんですよね。セリフやカナコの置かれている状況が、どこか自分の仕事と重なるところを感じることもあって、共演の方が「俺もわかるなぁ」なんてしみじみおっしゃっているのに共感することもありました。それで自然な表情が出せていたのかもしれませんね。
―プロレスラーの方々の演技も見どころですね
みなさんすごく真面目で、カットがかかるたびに「今のどうでしたか」って確認してくれるんですよ。私としては「いつものままで大丈夫ですよ」と思うんですけど、武(正晴)監督はそのへんもすごくお上手で、みなさんの素の表情とかもきちんと撮っていて、すごく自然体に映っていると思います。
―迫力のあるプロレスのシーンもありました
実際の試合や練習の様子も織り交ぜて撮影しているんです。そういうシーンは、やはり迫力が違いますよね。でも、試合会場にいつもと違う形のカメラが入っているので、普段と比べてテンションが異様に上がっちゃってる選手の方がいらっしゃったりして(笑)。かわいいなぁと思って、こっちもいつも以上に応援しちゃうこともありました(笑)。
―ありがとうございました
佐藤江梨子(さとう・えりこ)
1981年12月19日、東京都出身。
1999年の高校在学中、「大磯ロングビーチキャンペーンガール」に選出され芸能界入り。映画『キューティーハニー』では、抜群のプロポーションを生かして強烈な印象を与え話題となった。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』では、第29回ヨコハマ映画祭主演女優賞を受賞。映画、ドラマ、舞台、CMと幅広いジャンルで活躍中。