
写真=三橋優美子
―舞台の映画化作品。両方を演じてみていかがでしたか?
舞台から映画化、という作品に挑戦したのが初めてだったので、たくさんの気付きがありました。舞台には舞台の演じ方、映像には映像の演じ方があると、みなさんがよくおっしゃられているんですけど、私はその違いがわかるほど経験がなくて、とにかく一生懸命に向き合うことしかできませんでした。ですが今回、舞台と映画、それぞれを経験させていただいたことで、先輩たちがおっしゃられていたことが少しわかりました。体いっぱい使って全体を観ていただく舞台と、カメラが寄ってくれたりカット割りがあるような映画とでは、気にすべきところが違うんだ、というのを肌で感じ、とても勉強になりました。
―完成した映像を見てみていかがでしたか?
舞台だと客観的に観る機会が少ないので、映画として完成した作品を観て、だからこそ反省も多くて。もっとこうすればよかったかな、という点もあったんですけど、映画の中でちゃんと浅美になれていたと思いますし、出演者みんなのキャラクターが「生きているな」と感じられて、改めて映像として作品を残すことができてうれしく思いました。
―過去のシーンが挿入されたり、物語にも深みが増していますね
舞台だと表現しきれなかった、たとえば2人が過去にデートしているシーンのおかげで、「ああ、ちゃんと浅美と広樹には、想いを育んできた過去があるんだ」というのを実感できたので、そのあとのシーンがより意味を持つように感じました。舞台を観ていただいた方にもより深く感情移入できるようになっていると思います。
―特に印象に残っているシーンはどこでしょうか
全体的に、西条(みつとし)監督が、もともと伏線回収が巧みな方で、最後にほっこりできる“西条さんらしさ”が表現できていてすごく印象的でした。後半、登場人物同士の意外な関係が明らかになるシーンで、舞台の時にお客さんからのリアクションが特に大きかったポイントがあるんですが、改めて映像で見て「なるほど、たしかにこれは面白い!」って再認識できました。
―北原さんにとって「HERO」というと思い浮かぶ人はいますか?
本作は“身近なヒーロー”の話なので、それでいうと母親ですかね。私は四季折々のイベントが好きで大事にしているんですけど、それって母親の影響だったことに気付いたんです。今も立派なひな人形を出してくれるし、子供の日には大きな鎧兜を飾って菖蒲(しょうぶ)湯に入るし、十五夜にはススキを飾ってお月見をするし・・・昔からそれが当たり前だったんですけど、それが今自分のルーツになっていることに気付いて。そして大人になった今でもそれを続けてくれている母は、「HERO」というと大げさですけど、すごく感謝しています。
―そんなお母様は、今の北原さんの活躍をどのように見てらっしゃいますか
映画も舞台もいつも観に来てくれて、かといってなにかを押し付けてくるわけではなく、「いいんじゃない」とか「泣けたわ~」とか、素直な感想をくれます(笑)。そういう素直な意見がうれしいですね。
―今後、どういう活躍をされていきたいですか
AKB48グループを卒業してから時間も経って、これからのことを考えたときに変化も必要かなと実感しています。髪も思い切って切りましたし(笑)。自分から動いていって、新しい一面をどんどん出していきたいなと思っています。
―最後にメッセージをお願いします
舞台を観ていただいた方は、舞台で描かれなかった新しいシーンを新鮮な気持ちで楽しんでいただけると思いますし、初めてご覧いただく方には、ゼロからこの“西条マジック”の世界を楽しんでいただけると思いますので、老若男女、楽しんでいただきたいと思います。けっこう、がっつりなコメディーなんですよ。試写を拝見したときに、子役の子たちがすごく笑っていて。子供たちにも伝わる、わかりやすい作品になってるんだなと自信になりましたし、肩の力を抜いてご覧になっていただければと思います。
―ありがとうございました
北原里英(きたはら・りえ)
1991年6月24日生まれ、愛知県出身。
2007年にAKB48第二回研究生オーディションに合格。AKB48として活動後、NGT48に移籍しキャプテンを務め、2018年にAKB48グループから卒業。同年の映画『サニー/32』や2019年の『映画 としまえん』で主演を務め、映画やドラマでの活動を本格化させる。2020年6月、自身の誕生日にYouTubeチャンネル「きたりえチャンネル」を開設。活躍の場を広げている。
スタイリスト=丸山恵理子(オサレカンパニー)
ヘアメイク=MARVEE、オサレカンパニー
原作:TAIYO MAGIC FILM 第一回公演「HERO」
エグゼクティブプロデューサー:石田誠、中西研二
プロデューサー:村田泰介
脚本・脚本:西条みつとし
配給:ベストブレーン、企画:MMJ、製作:「HERO」~2020~製作委員会