
写真=松林満美
―まずは、ご自身が演じた酒井宏の役作りについて聞かせてください
野心家で、頂点に上り詰めようという気持ちが大きくて、父親を超えていこうという思いがあって…、そういう彼の熱さというか、ギラついた感じというのを思い描きながら演じました。それでいて、ちょっと子供というか、嫉妬深く未完成な部分もある男です。
―ジョン・ウー監督の演出はどういうものでしたか?
提案したことを受け入れていただいたこともありますし、役者として作品にかかわれたという実感がありますね。けっこう役者さんに任せている部分が多かったようです。でも、監督にも撮りたい画がもちろんあって、「腕の角度はこうして」と細かく指示されたシーンもありました。結局、そのシーンはカットになってしまいましたが(笑)。
―監督と出演者、みんなで完成させていった感じなんですね
そうですね。最初に全体のストーリーやバックボーンは伺っていたのですが、詳細が渡されるのは直前、ということがよくあったので、僕自身、物語や宏がどういう結末を迎えるのかはわからなかったんです。本当に、現場で作り上げていった感覚ですね。
―いろいろな言葉が飛び交う現場でもあったのですよね
日本語と英語と、広東語と…。でも、日本語を話せるスタッフの方もいらっしゃいましたし、もちろん通訳の方もいたので、言葉について問題はなかったですね。
―撮影スタイルも日本の作品とは違いましたか?
はい。香港や中国の映画は、日本とは撮影スタイルがかなり違うんです。今回の現場もそうなるだろうなと想像していましたが、それでもかなり時間をかけてじっくり撮影しました。1年くらいかけたんじゃないでしょうか。だから、撮影前に知らされていた大筋のストーリーからもだいぶ変わっていきました。
―印象に残っているシーンは?
水上バイクのシーンは、「日本でこれだけの撮影ができるんだ」と驚きましたね。逃走劇も見応えがありました。
―ご自身のアクションもかなり多かったですね
どこまでのアクションをやるのか事前にわからなかったので、「そんなにないかな」と思っていたら、かなり多かったですね。吹っ飛んでいましたね(笑)。監督からは、「動物的にやってみて」という指示があったりして、けっこう難しかったです。当日に、その日に撮るシーンの説明が書かれた紙を読んで、共演者と話し合いながら進めていく、という感じでした。
―高倉健さん主演の映画もかなりファンの多い往年の名作です
映画を拝見しました。当時からすると衝撃的な映画だったに違いないなと思いましたし…とんでもない映画だな、と思いました(笑)。ジョン・ウー監督による本作は、往年の映画ファンも、観たことのないファンも楽しめると思います。
―最後にメッセージを
事件の真相がどういう結末を迎えるのか、というのが一つの見どころだと思いますし、ジョン・ウー監督による迫力あるアクションシーンがかなりたくさんありますので、相当おもしろく観られると思います。ぜひその点を楽しんでいただければと思います。
―ありがとうございました
池内博之(いけうち・ひろゆき)
1976年11月24日、茨城県出身。
モデルとして、メンズファッション誌等で活躍。さまざまなテレビドラマ、映画に出演しながら、舞台では大物演出家の作品に立て続けに出演し、活動の場を広げる。2012年の舞台「るつぼ」(新国立劇場)では舞台初主演を務め、「三文オペラ」(主演/2014年/新国立劇場)、「禁断の裸体」(2015年/シアターコクーン)等に出演。主演舞台「赤道の下のマクベス」が新国立劇場にて2018年3月上演予定。また、香港映画『イップ・マン 序章』、日中合作映画『スイートハート・チョコレート』、中国映画『レイルロード・タイガー』など外国作品への出演も増え、アジアへと活動の場を広げている。