「年齢に関係なく、恋愛したらみんなかわいい」/ドラマParavi「理想のオトコ」蓮佛美沙子インタビュー

LINEマンガで連載され、累計閲覧数が380万回を超えるチカの「理想のオトコ」が初めてドラマ化され、現在放送中。恋愛から久しく遠ざかっていた独身美容師の主人公・小松燈子を演じるのは、その透明感と繊細な演技力で十人十色の幅広い役をこなす女優・蓮佛美沙子だ。自身も今年2月に30歳を迎えた彼女に話を聞いた。

写真=松林満美

―このドラマのお話を聞いたときの感想を聞かせてください

ここまでストレートな恋愛ものの作品の経験があまりなかったので、原作を読んで、「これを自分が演じるとなったら、どんな気持ちで挑むことになるんだろう」とワクワクする気持ちと、知らない自分に出会えそうだな、というドキドキがありました。

―実際に演じてみていかがでしたか?

現場がすごく和やかだったのと、個人的に以前お仕事した方も多かったので、自然体で演じられたと思います。燈子という子もナチュラルな女性だったので、背伸びすることなく、感情をそのまま表現しながら、素直に演じられたと思います。キスシーンとかは、親に見られているような感じはありましたけど(笑)。

―アラサー女子の恋愛を描いた物語。今のご自身だからこそ演じられることもあったのでしょうか

以前から、自分の実年齢より年上を演じることも多かったですし、あまり年齢を気にするようなことはありませんでした。でも、共感度という意味では、燈子と同世代だからこそ、たとえば「好き」という気持ちだけでは動けないジレンマみたいなものがすごくよく分かったりしたのは、私もちょうど30歳になったからこそかな、と思います。

―燈子をどのように演じようと考えて挑まれましたか?

ドラマが燈子の気持ちに寄り添っていくものだったので、関わっていくまわりの人たちの思いを燈子として受け止めて、キャッチボールしていこうと、台本を読んだときから思っていました。そこがナチュラルに表現できないと観ていただいている方が感情移入しにくいだろうなという思いもありました。

―燈子に共感できるところはありましたか?

恋愛が始まる前に、「あれ、私はこの人のことが好きなのかな?」ってわからなくなっちゃう感じはすごく共感できました。燈子ほど鈍感ではないと思いますけど(笑)。はたから見れば絶対に好きなんですけど、自分のこととなるとグルグル悩んで、もがいてしまう感じはよくわかりました。恋愛に対して、漠然とした憧れというか、「恋人は欲しいな、結婚したいな」って思ってはいるものの、意外と焦っていない感じとかも共感できました。

―燈子は美容師ですが、事前に練習もされたんですか?

1日何時間か、カットの練習をさせていただきました。自分のあまりの手先の不器用さに、プロの方はすごいなぁって思い知らされました(笑)。すごく難しい工程があって、プロのみなさんも駆け出しのころに、1000本ノックじゃないですけど、ものすごく練習されていたんだってお話を伺って感嘆しました。私のシーンは・・・なんとかうまく編集していただけるといいなと思います(笑)。

―“理想の”異性像や結婚像などはありますか?

撮影に入る前も「理想ってなんだろう」というのはすごく考えていて、なかなか答えはないんですが、「私がこうしたいから相手にも合わせてほしい」というよりは、持ちつ持たれつというか、支え合うというか、ちゃんと思い合う関係性というのが理想なのかな、とは思いました。私自身も強い結婚願望とか、「こうしたい!」みたいなものがないので、そういう意味でもドラマや燈子への共感が強かったのだと思います。

―同世代の共演者の方も多かったと思いますが、現場ではどのようなお話をされたんですか?

たとえば藤井(美菜)さんとは、「普段、お酒飲みますか~?」みたいな他愛ない話とか、味方(良介)くんや瀬戸(利樹)くんと一緒のシーンでは、男女でエスカレーターに乗るときにどちらが上に乗るべきか、って質問されたりとか(笑)、すごく普通の会話をしていましたね。「理想のオトコ」というタイトルなので、キャラクターに登場する男性陣の中で“誰派”か、みたいな話もしていました(笑)。ちなみに、私は“最賀くん推し”です。ドラマとマンガで描かれ方が少し違うんですが、ひたむきな感じが好きだなぁって、キュンキュンしました。

―同世代の視聴者の方にどのように感じていただきたいですか?

受け取っていただく素直な気持ちは、それぞれの方に委ねたいという思いはありますが、演じていて現場で思ったのは、大人とか若いとか関係なく、恋愛したらみんなかわいいなって。大人でも好きな人と付き合うか付き合わないかってときはドギマギするし、どれだけ恋愛の経験をしていても、すれ違いとかジレンマとかはあると思うので、「それでいいんだな」って思いました。だから、自分に置き換えて見ていただきたいし、客観的に「かわいいな」って思っていただいてもいいと思います。

―最後にメッセージをお願いします

年齢とか立場とか、安心できる未来とか、いろんなものが頭をよぎって前に進めない大人たちの、まっすぐで自然体な恋愛ドラマです。「理想のオトコ」というタイトルの意味を、ドラマを観終わったときに改めて考えていただける作品になるといいなと思っています。キュンとしたりハラハラしたり、落ち込んだり、燈子と一緒に楽しんでください。

―ありがとうございました

蓮佛美沙子(れんぶつ・みさこ)
1991年2月27日生まれ、鳥取県出身。
2006年、映画『犬神家の一族』でデビュー。2007年の映画『転校生 -さよならあなた-』で映画初主演。その後、ドラマ「37.5℃の涙」「お義父さんと呼ばせて」など、映画やドラマで活躍。近年の主な出演作は映画『記憶屋 あなたを忘れない』『天外者』、ドラマ「べっぴんさん」「恋はつづくよどこまでも」など。現在放送中のドラマ「きれいのくに」にも出演中。

ヘアメイク=宮本愛(yosine.)、スタイリスト=佐藤遥菜(cr?pe)
衣装協力=イヤーカフ(warmth/株式会社ユーストン、03-6413-0156)

ABOUT
大人になると恋愛に憶病になり、異性と付き合うことが難しくなる。何年も恋愛を休んでいるアラサーヒロインたちの前に現れた10歳年上、10歳年下、同じ年の男たち。仕事仲間、夫、同級生、一夜の相手・・・大人のラブストーリーが本格的にスタートしていく。
配給:放送局:テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビ北海道、テレビせとうち、TVQ九州放送
公開日:毎週水曜深夜0:40~、動画配信サービス「Paravi」で毎話独占先行配信中
(C)「理想のオトコ」製作委員会