「一緒に観た人に『すごくよかった』って言ってもらえた」/『万引き家族』城桧吏インタビュー

第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞した是枝裕和監督の最新作『万引き家族』が本日より公開される。社会では許されない、「犯罪」という絆で結ばれた家族の“絆”、そして真の“つながり”とは何かを投げかけた本作で、父に言われるまま万引きの手伝いをさせられる息子・祥太を演じるのは、オーディションで選ばれた城桧吏だ。是枝監督に才能を見出された彼の素顔に迫った。

写真=松林満美

―是枝裕和監督の映画に出演した感想を聞かせてください

とっても緊張しました。撮影前には台本がもらえなかったので、どうしていいかわからなくて…。撮影のときにその場で説明を受けました。その場でセリフを教えてもらって、「こういう場面だから、こうしてね」って言われて、「はい!」って答えました。台本なしで演技するのもいいなぁと思いました。撮影する前は緊張していたけど、撮影が始まったらその世界に入り込んで、楽しく演技できました。

―祥太の役作りはどのようにしたんですか?

祥太は、最初のうちは何も考えずに万引きをしていたけど、だんだん「万引きはダメなことなんじゃないか」と気付くようになっていきます。それ以外は、あまり役作りはしていません。撮影しながら、自分のままで演技しました。

―完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

自分が映っているので、不思議な感じ(笑)。一緒に観た人に「すごくよかったよ」って言ってもらえて、すごくうれしかったです。

20180607-01_sub01―どれくらいの期間、撮影していたんですか?

2カ月くらい…かな。ぼくは(佐々木)みゆちゃんと一緒にいることが多かったので、休憩中はいろんな遊びをしていました。アニメの話をしたり、お化けの話をしたり。ぼくがお化けの動画を見るのが好きなので、一緒に見ていたら、こわすぎてみゆちゃんが泣いちゃったことがありました(笑)。あとはかくれんぼしたり、鬼ごっこしたり…。楽屋とか、メイクさんの部屋とか、着替える部屋の机の下とかが、隠れるポイントでした。

―リリー・フランキーさんとの連携プレーも見事でしたね

お菓子をカバンの中に落とすのが難しかったです。開き具合によって入らなかったり。何回もやり直ししました。でも最後のほうはコツをつかんできて、うまくできるようになりました(笑)。でも、こんなこと絶対にやっちゃダメです。

―将来、どういうことをがんばりたいですか?

俳優さんとしてがんばっていきたいです。演技で、みんなに何かを伝えられる人になりたい。とにかく、今の目標は「がんばる」。最初から本気でいくことです。

―これから見る人にメッセージをお願いします

内容は観てからのお楽しみなんですけど、感動するところもあるし、面白いところもある…と、思います。最後のシーンが一番感動するというか、ぼくが一番好きなシーンがそこだったので、注目してほしいです。

―ありがとうございました

20180607-01_sub02城桧吏(じょう・かいり)
2006年9月6日、東京都出身。
7人組の男子小学生ユニット「スタメンKiDS」のメンバーとしても活躍中。本作では、実力派俳優に引けを取らない堂々とした演技を披露。多彩な才能で、今後の活躍が期待される。

ABOUT
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝(樹木希林)の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子(佐々木みゆ)を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。
配給:ギャガ
公開日:6月8日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
(C) 2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.