
写真=三橋優美子
―内気な主人公・内藤宏伸の役作りについて教えてください
最初のほうは、できるだけ内気な感じを前面に押し出していければいいと思っていました。殻に閉じこもっている、ちょっと“小さく見える”ような男の子かなと。人と話すときも目を合わせられないとか。彼が徐々に成長していく過程は、僕自身が純粋に楽しんでいけば大丈夫だと思っていました。
―宏伸に通じる部分はありますか?
根本的な部分は似ていると思いました。今はそうでもないですが、内気だったり意見があまり言えない感じは、似ていたなぁと。この仕事は、役を守るためにも意見をきちんと言えることが大事なので、意見が言えない自分を変えなきゃと思った時期があって。その前の自分をすごく思い出させる男の子でした。
―ご自身も写真がお好きなんですよね
趣味というほどではなくて、風景ばかりですけど、写真を撮るのが好きです。今回の作品で、改めて写真っていいなぁと思いました。撮影現場でも撮影している方が多かったので、自分もフィルムのインスタントカメラを買って撮ってみたりしました。
―写真の魅力とはなんでしょうか
普通のことしか言えないですけど、その一瞬を切り取れるのはいいなと思いました。僕は、最近は携帯のカメラもあまり使っていなくて、思い出が残っていないんですけど、改めて、その瞬間瞬間を残しておけるのっていいなって。先日、たまたま友達と昔の写真を振り返る機会があって、やっぱりなつかしくて楽しいし、あぁ残しておけばよかったなと後悔する部分もありました。
―ひまわり畑の写真も素敵でしたね
すばらしい景色だったんですが、なにより暑かった(笑)。天気に恵まれてよかったんですが、隠れる場所もなかったので。でも、目に入る瞬間から真っ黄色で圧倒されました。なかなか見る機会がない風景ですし、あそこで撮影できたのはうれしかったです。劇中に出てくるパノラマ写真もすばらしいですよね。時間によって空気感も変わりますし、自分はどの時間の写真も好きでした。
―実話を基にした物語です
誉田先生の小説のモデルになった学校で撮影させていただいて、そこの制服を着て…。そこの生徒さんと一緒に撮影させていただき、実際に「世界で一番長い写真」も拝見しました。当時、その撮影にいらっしゃった先生が、今は副校長になられているので、お話を伺ったりもしました。今の生徒さんは、あまりこの事実をご存知ないらしいんですよ。だから、こういった機会に自分たちが伝えることができてよかったなとも思いました。
―一体感のある撮影現場だったようですね
これまで内気で注目されなかった子が、大勢の生徒さんを巻き込んで、大きな輪の中心に向かっていくのが、なんとも言えない気分でした。「色が付いた」といいますか。実際に学校の生徒さんと一緒に撮影をしたので、その迫力に負けず、僕だけでなく、出演者みんなが引っ張っていけたらと思いながら撮影していました。
―ご自身が、高校時代に夢中になっていたことはなんですか?
お仕事ですかね。自分は、この仕事に出会ったからこそ自分を出せるようになっていった部分もありますから。もう、それも自分でも意識できないほど、ずっと仕事に寄り添って生きてきた気がします。
―これから先、目指すのはどんなところですか?
「もう一度、一緒に仕事がしたいな」と思っていただけるような人になりたいです。替えのきかない人になるのが目標です。今は、そんなにたいしたことはできていないですけど、撮影に携わる方がいい空気感で撮影できたらいいな、ということは気にしています。本作は特に、みんなが仲良くなればなるほどいい作品になると思いました。
―最後にメッセージをお願いします
観てくださったほとんどの方が「好き」と思っていただけるような作品だと思います。だれしもが共感できる青春の映画で、みんな若返ることができると思います。スタッフさんもキャスト陣もみんなが楽しんで作った作品なので、ぜひ観てほしいと思います。
―ありがとうございました
高杉真宙(たかすぎ・まひろ)
1996年7月4日生まれ。
2009年に舞台で俳優デビュー。2012年『カルテット!』で映画初主演。2013年、ドラマ「仮面ライダー鎧武/ガイム」での演技力が注目を浴びる。その後、映画『ぼんとリンちゃん』『想影』『逆光の頃』で主演を務め、2017年にはドラマ「セトウツミ」、映画『PとJK』『トリガール!』など話題作に出演。同年出演した映画『散歩する侵略者』では毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。2018年も映画は本作含め『虹色デイズ』『ギャングース』など主演作が控える。