「“胸キュンシーン”にも特に気を使いました」/『青夏 きみに恋した30日』佐野勇斗インタビュー

南波あつこによる人気コミックを映画化した『青夏 きみに恋した30日』が8月1日に公開する。夏休みを田舎で過ごすことになった都会の女子高生・理緒と、そこで出会う地元の男子高生・吟蔵との“期間限定の恋”を描くピュア・ラブストーリーだ。理緒役の葵わかなと共にダブル主演を務めるのは、今年立て続けに映画に出演し注目が高まる佐野勇斗。所属するダンスボーカルユニット「M!LK」では最年長でまとめ役の佐野が、クールながら実は優しい吟蔵をどう演じたのか、話を聞いた。

写真=松林満美

―本格的なラブストーリー。どういう準備をして臨みましたか?

そのあたりがすごく難しくて・・・。一番難しかったと言っても過言ではないくらい。かっこよくいるのが大変でした。原作の吟蔵もすごくかっこいいですし、原作のファンの方はその吟蔵を期待して観てくださると思うので、その意味でも難しかったです。作品の内容的に、“胸キュンシーン”も注目だと思うので特に気を使いました。演じるにあたっては、事務所の先輩の山﨑賢人さんの作品を観て研究しました。

―実際に演じてみた手応えはいかがでしたか?

体を見せるシーンもあって、原作の吟蔵はすごくシャープでかっこよかったので、絞らなきゃと思って減量したり、体づくりの面では頑張れたかなと思います。でも、演技の部分ではたくさん反省もあって・・・。胸キュンシーンなんかは、モニターチェックもできませんでした。恥ずかしくて・・・(笑)。

20180731-01_sub01―バーベキューや夏祭りのシーンなど、夏のイベント盛りだくさんでしたね

たくさんイベントを体験していく中で、どんどん役に入り込んでいくことができました。三重県で撮影したんですが、共演したメンバーは、オフの時間に伊勢神宮に行ったりしている中、僕は撮影があって一緒に行けなくて・・・、いまだに根に持ってます(笑)。でもお土産を買ってきてくれたのでいいんですけど。あとは、(水石)亜飛夢くんと地元の海鮮料理を食べに行きました。エキストラとして地元の高校生のみなさんが協力してくださったり、地元の観光協会の方が毎日おいしい差し入れをしてくださったり、そういうのもあって三重が大好きになりました。伊勢神社には行けなかったですけど、三重は堪能しました。映画を観てくださった方には、夏の撮影現場巡りとかしていただきたいですね。

―川に飛び込むシーンもありました

最初に台本を読んだときは「気持ちよさそうだな」と思っていたんですが、撮影に入ったのが4月で、めちゃくちゃ寒くて・・・(笑)。スタッフさんも真冬のような服装の状況で・・・控えめに言っても“地獄”でした。濡れちゃうので失敗できないし、中に入って演技もしなきゃいけないし、本当に大変でした。そのとき、古澤(健)監督が、「寒いだろう」と気を使ってくださって、なぜかご自分も上半身裸の水着姿で撮影していました(笑)。

―監督とは、現場ではどのような話をされましたか?

古澤監督とお仕事するのは2回目なのですが、僕の性格などをよくわかってくださっているので、「お前は自分に自信がないタイプだから、根拠がなくてもいいから自信を持て。そうじゃないと吟蔵は演じられない」とアドバイスいただきました。現場で、岐洲(匠)くんの腹筋がすごく割れてるのを見て、「やばい、みんな岐洲くんに惚れるわ」とか言っていたら、監督から「吟蔵はそれじゃダメだろ。自分に惚れろくらいのことを言わないと」と怒られました。たしかにその通りだなと思って反省しました。監督は、僕だけじゃなく出演者の意見をしっかり聞いてくださるので、役者と距離が近い監督というか、僕も心を許していました。

20180731-01_sub02―吟蔵は、最近演じられている中では、かなり等身大のキャラクターですね

たしかに、最近の作品では「現実にこんな人いるか」というキャラクターを演じることが多かったので、そういう意味では普通の子を演じることになりました。でも、言っていることはけっこう「そんなこと言うか!?」ということも多かったので、難しい部分もありましたね。現場で相談しながら模索していった感じです。

―吟蔵と共通する部分はありますか?

恋愛に奥手なところですかね・・・。僕も、相手を好きになっても自分から行けないんですよ。本作にも出てくるような「運命の恋」みたいなものがあまりピンときていなくて。結婚されている方が、よく、お相手と出会ったときに「この人と結婚すると思った」っていうのを聞くので、「運命」はすごく信じるタイプなんですけど、今はまだあまり感じたことがないですね。運命を感じたのは「M!LK」のメンバーですね。

―吟蔵は強い夢を持ちながら臆病な部分もあり、葛藤を感じています

そこは自分とはちょっと違う部分かもしれないですね。僕は、やって後悔するタイプ。上京するにしても、吟蔵はたくさん考えがあって今は地元にいるという選択をしていますが、僕は・・・よく上京したなと思いますが、考えずに出てきてしまいました。ホント、なんで上京しちゃったんでしょうね(笑)。「こうなったらどうしよう」というのはあまり考えないです。むしろ、理緒のほうに共感できるんです。考えずに言っちゃうあたりとか。ちゃんと考えないといけないかもしれないですね。

―それは、ご自身が芸能界入りしたころから変わらないですか?

昔から、考えずに動いちゃうのは変わっていないですね。デビューのきっかけは、家族が自分に内緒でオーディションに応募したことだったので、それのおかげで今があるかなと思います。突然、「明日大阪に行くから」と言われて連れ出されて、「遊びに行くのかな」と思っていたらオーディションだったという(笑)。

―高校時代、どのような思い出がありますか?

遊んでばかりいましたね(笑)。文化祭で泥ダンゴを売ったりとか。ピカピカの泥ダンゴっていうのがその時期に流行っていたんですよ。でもすごく難しくて、出来が全然よくなくて、まったく売れませんでした。あと、ハンバーグを作る調理実習でモンブラン作ったりとか・・・。とにかくふざけてばかりで、楽しかったですね。

―逆に、これからのことについてはどうですか?

最終目標だけしか考えてないですね。俳優としては、“朝ドラ”に出たいです。祖母が大好きでよく見ているので、ぜひ出演したいです。「M!LK」としては、NHK紅白歌合戦の司会をやりたいというのが、ずっと前からの夢です。本当は、そこに至るまでの過程を考えなきゃいけないんですけど、なにも考えてないです(笑)。これから考えるようにします。

―この夏にやってみたいことはありますか?

イタリアに行ってみたいですね。本場のピザが食べたいです。あと、世界遺産を見たくなったんです。三重で撮影をしていて、滝の近くで撮影をしたのがすごく神秘的で・・・“世界遺産”というからにはすごいんだろうなと思って、ちょっと見てみたくなっちゃいました。

―最後にメッセージをお願いします

この作品って、今どきあまりないピュアな作品だと思うんです。登場人物の世代だけじゃなくて、20代、30代の方も、なつかしいなというか、「自分もこんなピュアな高校時代を過ごしたかったな」みたいに感じていただけるんじゃないかと思います。景色もすごくきれいですし。この映画は真剣にやりましたので・・・って、ほかの映画も真剣にやってますけど、いつもライブとかで見せる僕とは違う一面を見ていただけると思いますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

―ありがとうございました

20180731-01_sub03佐野勇斗(さの・はやと)
1998年3月23日、愛知県出身。
2015年に映画『くちびるに歌を』で俳優デビュー。ドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」、映画『ミックス。』などに出演。2018年は、映画『ちはやふる -結び-』『羊と鋼の森』『3D彼女 リアルガール』『走れ!T校バスケット部』などに出演。ボーカルダンスユニット「M!LK」のメンバーとしても活躍中。ダブル主演を務めた『凜』が公開待機中。

ABOUT
夏休みの間、大自然に囲まれた祖父の家で過ごすことになった都会育ちの女子高生・理緒(葵わかな)は、そこで地元の高校生・吟蔵(佐野勇斗)と出会う。少しぶっきらぼうだけど実は優しい吟蔵に、理緒は恋に落ちる。吟蔵も、まっすぐな理緒に次第に惹かれていくが、夏休みが終われば離れ離れになってしまう。わかっていても止められない想い。吟蔵の幼なじみで婚約者の万里香(古畑星夏)や、理緒に想いを寄せる祐真(岐洲匠)たちも巻き込み、恋は加速していく。
配給:松竹
公開日:8月1日(水)より、全国ロードショー
公式サイト:http://aonatsu.jp/
(C) 2018映画「青夏」製作委員会