「どうなるかわからないけど、ずっと全力でお芝居してました」/『カメラを止めるな!』秋山ゆずきインタビュー

監督や俳優の養成プログラム「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾として製作された『カメラを止めるな!』が破竹の快進撃を続けている。2017年11月に6日間限定で先行上映された本作はたちまち話題を呼び、都内2館公開から公開規模を拡大。200館以上での上映が決まり、2018年8月20日発表の全国映画動員ランキング(興行通信社提供)では8位にランクインした。ち密な脚本と巧みな構造、数カ月にわたる綿密なリハーサルを経て作り上げられた類まれなこのエンタメ作品は、いまなお観る者の心をつかみ続けている。本作で、ヒロイン的な存在感を見せるアイドル女優の松本逢花を演じるのは、映画出演3作品目となる秋山ゆずき。「よろしくで~す」という逢花の口グセも話題となっている。今後、ますます活躍が期待される彼女に話を聞いた。

写真=三橋優美子

―大変な話題になっている本作。作品との出会いはどのようなものでしたか?

上田(慎一郎)監督とは、7年前に『恋する小説家』という作品に出演させていただいて、最近では『ナポリタン』という作品や、『恋する~』の舞台版でもお仕事させていただいていたので、この作品の中身を伺う前から、「上田監督がくださったチャンスなら、やります!」と答えていました(笑)。私は映像のお芝居の経験がほとんどなかったんですが、上田監督は以前から「映像の経験をしたほうがいい」とチャンスをくださっていたので、本当に信頼感がありますし、今回も迷うことなく「出たい!」と言っていました。

20180822-01_sub04―脚本を最初に読んだときの印象は?

正直、1回読んだだけでは全然わからなかったです。自分の役を追うのに精一杯というか、ストーリーが複雑で。とにかく、37分ワンカットのシーンについては、舞台のようなつもりで導線を頭に叩き込みました。出演するメンバーと一緒に、代々木公園で「ここがドアAね。ここがドアB、ここがドアC・・・」という感じで、あたり一角を撮影場所の図面に見立てて、公園を走り回って練習しました。体を動かして初めて覚えられたので、脚本を読んだだけでは絶対わからなかったですね。

―実際に撮影してみていかがでしたか?

20180822-01_sub03「一発勝負で決めてやる!」という意気込みで挑みました。ちょっとでも気を抜いたら失敗しちゃうし、気を抜いたらそれが映画になっちゃうかもしれないし、とにかく必死でした。でも、カメラが止まっちゃったり、トラブルがあったりしてやり直すことになっても、「次で絶対決めるぞ」と、メンバー全員、すごい気合が入っていました。

―どんなハプニングがあったんですか?

私の涙が間に合わなかった・・・とか、ゾンビの血のりが間に合わなかった・・・とかですね。OKテイクになっている映像も、ちょっと練習と違うからといって止めないという意気込みで撮られたものなので、台本にないセリフも言っています。パンフレットに“完全ネタバレ”の脚本が載っているんですが、見比べていただくと、そこに載っていない掛け合いとかもあります。もし「あれ? こんなセリフないぞ」と気付いた方、それはガチのトラブルです(笑)。本当にチームワークでしたね。どうなるかわからないけど、ずっと全力でお芝居してました。「どうにかつながれ!」って(笑)。本当に、何があっても「カメラは止めない!」という感じでした。

20180822-01_sub01―まわりの反響はどうですか?

公開した当初は、ついに見ていただける機会ができたという気持ちでした。そしたら、「満席だよ」「今日も満席だよ」「今日も・・・」って。「あれ、満席ずっと続いてない?」というのが続いて、だんだん「上映館が増えたよ」となって・・・。公開した日から、ずっと不思議な感覚です。舞台挨拶で、大阪や名古屋、そのほかいろいろな地域にお邪魔するたびに、だんだん実感がわいてきているところです。本当にありがたいです。

―これまでは舞台での活躍が多かったと思いますが、これからの展望は?

デビューしてから10年なのですが、映像でお芝居させていただく機会に恵まれて、今こそがんばるときがきた! という感じです(笑)。せっかく見ていただけるチャンスをいただけたので、丁寧にお芝居に向き合っていきたいなと、改めて感じるようになりました。

―バラエティの出演も増えるかもしれませんね

ずっとお芝居のお仕事をさせていただいていたので、セリフや台本がないのはこわいですね(笑)。チャンスがあればがんばりたいですけど・・・、バラエティの出演に備えて、日々思ったことを書き留めるネタ帳を用意しようかな(笑)。これまで、イヤホンをして移動することが多かったんですが、インプットが少なかったかもしれないですね。もっと日常にアンテナを張って、演技ではない自分で勝負できるようにがんばります(笑)。

20180822-01_sub05―挑戦してみたい役どころはありますか?

今回も斧を振るったり、ずいぶん激しい役でしたけど(笑)。今回、当て書きをしていただいて、「よろしくでーす」というような役どころが私のイメージだと思うので、そこを抜け出すためにも真逆の役どころに挑戦してみたいと思うようになりました。幅広い役に挑戦していきたいですね。

―最後にメッセージをお願いします

「カメラを止めるな!」は、劇場で知らない人と盛り上がれる映画です。映画館ならではの、みんなで一緒に観るという体験を味わっていただき、いろいろ感じ取っていただきたいので、ぜひ劇場に足を運んでください。よろしくお願いします!

―ありがとうございました

20180822-01_sub02秋山ゆずき(あきやま・ゆずき)
1993年4月14日生まれ。埼玉県出身。
中学生のときにアイドル活動を開始し、モデル、グラビアなどで活躍。2010年ごろから舞台出演を始める。2011年、上田監督の短編映画『恋する小説家』で映画デビュー。ほか、『ナポリタン』『白兵奇襲隊コンバットキャッツ』などに出演。

ABOUT
とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。本物を求める監督はなかなかOKを出さず、テイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に本物のゾンビが襲いかかる。大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々・・・そんな、“37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイブムービー”を撮ることになった売れない映像監督の日暮隆之(濱津隆之)は、意識の高いイケメン俳優・神谷和明(長屋和彰)や、事務所NGの多いアイドル女優・松本逢花(秋山ゆずき)ら個性的な出演者に翻弄され・・・。
配給:アスミック・エース=ENBUゼミナール
公開日:絶賛公開中
公式サイト:http://kametome.net
(C)ENBUゼミナール