
写真=松林満美
―マチルダはどのような女性だと思われますか?
彼女は非常に大胆で情熱的な人で、自分の欲しいものを躊躇(ちゅうちょ)せずに取りにいくし、自分にはその価値があるという自信を持っています。人生を愛し、生命力に満ち溢れている女性です。その情熱は、踊りにも恋愛にも、すべてのことに注がれていると感じました。
―ミハリナさんも歌手活動や執筆活動など、多岐にわたる活躍をされています。似ている部分も多いのでは?
自分のやりたいことにすべてを捧げるというのを情熱的というのであれば、その点は似ているかもしれませんね。50%でやることはありません。ゼロか100かです。でも、私は自信家ではなくて、やりたくても「自分はうまくないから・・・」と躊躇してしまうことがあるのですが、その点はマチルダから学ぶべきところだと思いますし、彼女を尊敬する点です。自分が欲しいのであれば、うまくいかないかもしれないけど、とにかくやってみることが大事だと学びました。
―ドレスやバレエの衣装など、豪華な衣装も印象的でした
すばらしい経験でしたし、すばらしい冒険だったと思います。着てみると重かったり、コルセットがきつかったりと大変なことも多かったのですが、着ることができてハッピーでした。また、現代の服は美しさより着心地のよさを追求していることが多いと思いますが、当時は違うということを学びました。それから、宝石が印象的でした。すべて映画のために用意された本物の宝石で、それを身につけることができたのは素晴らしい経験でした。
―本作が日本で公開されることについてどう感じますか?
日本の方がどのような反応をしてくださるかはわからないのですが、いろいろな方がそれぞれの楽しみ方をできる作品だと思います。史実に基づいているので歴史が好きな方は歴史ドラマとして楽しめますし、そうでない方も、ラブストーリーとしてやファンタジーとしても楽しめます。視覚的にも美しい作品ですから、映像作品としてさまざまな方に楽しんでいただける映画だと思います。
―一番印象に残っているシーンはどこですか?
私にとっては撮影のすべてが冒険だったのですが、教会での戴冠式のシーンは忘れがたいです。そのシーンはセットを組んで撮影されたのですが、セットがあったのが産業的なエリアで、無機質な扉を開けると中には黄金に輝く教会があり、大変なインパクトでした。作品の中でも非常に重要なシーンですし、とても印象に残っています。
―日本に来られたのは初めてですか?
そうです。日本に来るのが夢でした。以前、『ゆれる人魚』のときに来日のチャンスもあったのですが叶わず、今回、来ることができるようになって「やったー」と叫びました。日本の文化に興味があって、私は日本のアニメで育ちました。宮崎駿作品が好きなんです。だから、今回の来日をとても楽しみにしていました。
―特にどのような点が楽しみでしたか?
私は自然が好きなのですが、東京はSF的なビルがありながらも緑がたくさんあって、そこが魅力ですね。また、日本の歴史を展示した博物館にも行ってみたいと思っていました。欧米では、欧米側からの視点で歴史が語られていますから、日本の立場でどのように描かれているのか知りたいんです。でも、時間がないときは街を歩いたり、地元のレストランを訪れたりすることでもその街のカルチャーに触れることができるので、そういった点が楽しみでもありました。
―今後、チャレンジしてみたいことはなんですか?
幸運なことに、これまでさまざまな国で仕事をさせていただきました。自国のポーランドはもちろん、チェコ、ロシア、ポルトガル、ルクセンブルク、リトアニア・・・いろいろなところを見ることができましたし、いろいろな国に行ってその国の方と触れ合い、仕事をし、それぞれの文化を知ることはとても大切なことだと思っていますので、このまま続けていきたいと思います。ポーランドでは、「神の愛が欲しければ、自分の考えを言いなさい」ということわざがあるのですが、私の人生に起こった素晴らしい出来事というのはどれも予想外のことばかりでした。神が与えてくれる「愛(幸運)」というのは予想ができないものばかりなので、この先、どんなことが起こるのか楽しみにしています。
―最後にメッセージを
愛を込めてこの作品を作りました。かかわった人たちのハートが感じられる温かい映画だと思います。映画を観ていただければ映画がすべてを語ってくれると思いますが、ショックを与えるのではなく、笑ったり泣いたり、楽しんでいただくために作りました。映画を楽しんでいただければと思います。
―ありがとうございました
ミハリナ・オルシャンスカ
1992年生まれ、ポーランド・ワルシャワ出身。
ポーランドで注目を集める若手女優。演技だけでなく、歌手、作家としてなど幅広く活躍する。主な出演作は『ヒトラーと戦った22日間』『ゆれる人魚』『暗殺者たちの流儀(日本未公開)』などがある。