
写真=三橋優美子
―実写映画初主演となりましたが、話を受けた時の印象は?
「実写で主演ってどういうこと!?」って、最初は思いました。そんな機会をいただけるなんてイメージしていなかったので、びっくりしました。一番大変なのは、やはりセリフを覚えることでしたね。声のお仕事の時は台本を持ちながらできるので・・・。舞台のお仕事もやらせていただくことは多いですけど、映画作品のように、教室とかロケ地に自分が実際にいながら演じるのは、大きな違いでした。
―脚本を読んでの感想はいかがでしたか?
大変そうだなと思いました(笑)。振り回されっぱなしなので、リアクションがすごく大事かなと思いましたし、実際にこんな状況になったらヤバいなと思いながら読みました。原作も読ませていただいて、国彦先生はすごく真面目でまっすぐで、いい先生だなと思ったのと、演じた時にその感じが出せればいいなと思いました。声のお仕事では10代とか若いキャラクターが多いので、大人の先生という感じも出せたらいいなと思っていました。
―実際に演じてみていかがでしたか?
普段、男性キャストばかりの現場が多いのですが、今回は若い女性陣に振り回される役で、実際に撮影現場でも振り回されていました(笑)。女性陣で盛り上がっている中に入り込んでいくことがなかなかできなくて、会話に入るタイミングがとても難しいなって思いました。でも、小宮(有紗)ちゃんや茜屋(日海夏)ちゃんなど、声優としても活躍されている方もいたので、そういう話ができる方がいたのは救いでした。まったく共通点がなかったら一言も話せずに終わっていたかもしれません(笑)。
―先生役というのも珍しいですよね
もしかしたら初めてかもしれないですね。ただ、教壇に立って何かを教えるというような、いわゆる“先生らしい”シーンはあまりなかったので、逆に、先生らしくというよりも、大人として生徒たちとやり取りするのが国彦先生らしいかな、というように監督とはお話ししていました。
―監督からはどのような指示があったんですか?
監督からは、「今のは生徒と同じ目線でしゃべっちゃったかな」とか、細かく指示していただけてとても助かりました。生徒たちは国彦先生に対して同じ目線で接してくるので、そこを大人としてちゃんと上から対応するよう、指示していただいていましたね。僕はガタイがいいわけでもなく、見た目が若く見られがちなので、その点は特に注意して演じるよう心掛けました。
―コメディー映画は、演じてみていかがでしたか?
コメディーが好きなので、面白いことやりたいなと思っていました。でも、気持ちのいい間で掛け合いができている時に限って噛んじゃったりして、悔しい思いもしましたね。原作を読んでいると“ギャグ顔”というか、コミカルに表情がコロコロ変わる感じが面白かったので、それを表現できるといいな、と思っていました。
―共演者の方とはどのような話をされたんですか?
小宮ちゃんは、映像作品の経験が多いので、「小宮先輩!」という感じで(笑)。事前に何か話したり決め事をしていたわけではなく、撮影中も思い付きで動いちゃったことも多かったのですが、その場の出来事に自然に反応していくことを意識していました。お芝居の話はあまりしてなかったと思います。
―本作で、印象に残っているシーンはどこですか?
ほとんどのシーンが学校での撮影だったので、国彦先生の部屋での撮影が新鮮で、かなり印象に残っていますね。あとは最後にすごい顔をするので、そこですね(笑)。最初のテイクでは「やり過ぎ」と言われました。
―個性的な登場人物たちに振り回されますが、小野さんのまわりには強烈な個性を持っている方はいらっしゃいますか?
たくさんいらっしゃいますけどね(笑)。みなさんすごくいい方で、自分は人に恵まれていると思いますけど・・・個性的といえば、細谷佳正さんですかね。人間的に面白くて大好きです。あと、小学校の担任の先生ですごく印象的な人がいて。アコギを教室に持ってきて、帰りの会で「じゃあ一曲」なんて言って弾き語りをしてくれたんです。僕は高校で軽音部に入ったのですが、その時の先生のかっこいい印象が強く残ってた影響もあるかもしれないです。ほかにも、小学校の卒業式の時に「刺身コンニャク」を持ってきて、全員に「おめでとう」って言いながら配ってくれた先生もいました。とても美味い刺身コンニャクでした。
―ほかにも学生時代の思い出を教えてください
いろんな思い出がありますね・・・。高校の軽音部で、メンバー同士で同じ女の子のことを好きになったり。「あの子、気になるんだよね」とか言われていると、だんだん自分も気になってきちゃうんですよね。それで、同じ日に2人とも告白して、2人ともフラれるという(笑)。中学時代の同級生と今も仲良くて、舞台を見に来てくれたり、たまに飲んだりしてますね。
―小野さんは、本作の女の子のように積極的にアプローチされるのはいかがですか?
ストレートに言ってくれるほうがいいかな・・・。あまり行動の裏側を読み解くのが得意ではないので、わかりやすいほうがいいですね。でも、グイグイ来られ過ぎちゃうと引いちゃうかもしれない。むしろ、引かれると追いかけちゃう、みたいな(笑)。振り回されやすいタイプなのかもしれないです。
―最後にメッセージをお願いします
女の子たちに振り回される僕の立場で観てもらえると楽しいと思います。「今、美女たちに振り回されてるわ~」という感じで(笑)。もしくは、僕が振り回されている様子を客観的に「あ、振り回されとるな」という感じで観ていただければ(笑)。テンポがよくて観やすい作品になっていると思いますので、ぜひたくさんの方に観ていただければと思います!
―ありがとうございました
小野賢章(おの・けんしょう)
1989年10月5日生まれ、福岡県出身。
幼少の頃から子役として活躍し、2001年には劇団四季「ライオン・キング」でヤングシンバ役として出演。映画『ハリー・ポッター』シリーズで主人公ハリー・ポッター役の声を担当し、以降、声優としても活躍。アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」のジョルノ・ジョバァーナや「ゾイドワイルド」のアラシ、「同居人はひざ、時々、頭のうえ。」の朏素晴など、数多くのメインキャストの声を担当している。3月8日(金)に公開の映画『スパイダーマン:スパイダーバース』では、主人公マイルス・モラレスの声を担当している。2月27日(水)にLIVE-BD「KENSHO ONO Live Tour 2018 ~FIVE STAR~」が、3月30日(土)にDVD「小野賢章がゆく 旅友 第九弾~ゲスト:岡本信彦&木村良平篇~」が発売予定。