「リアリティーを大切に、臨場感や緊張感を持たせて進めた作品」/『プリズン13』堀田真由インタビュー

アメリカ・スタンフォード大学で行われた、人が特殊な肩書や地位を与えられるとその役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした心理実験「スタンフォード監獄実験」をモチーフにした映画『プリズン13』が8月30日(金)に公開する。監獄実験に参加する主人公の女子大生・マリを演じるのは、ドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」での演技が記憶に新しい女優の堀田真由。今後、数多くの映画やドラマの公開が控える注目の彼女に、実際に閉鎖空間で行われた撮影の様子を振り返ってもらった。

写真=三橋優美子

―過去にさまざまな作品にもなっている実際の実験がモチーフ。題材を聞いたときの印象は?

どんな映像になるのかな、というのが最初の印象でした。それに、(同様の実験をモチーフにした)映画『es[エス]』と違って「男女」がいるというので、絶対違うものができるだろうな、とか。きっと学校の教室のように、恋愛感情とかがより複雑に絡み合うのかと思って楽しみでした。

―脚本を読んでみていかがでしたか?

主演をやらせていただくにあたって、私自身も「こうしたい」というのを率直に伝えさせていただいて、脚本も最初の内容から少しずつ変わっていきました。たとえば、実験の中で立場が変わるマリの心情を考えたときに、「ここで、こういうセリフを足してほしい」というような。リアリティーを大切に、臨場感や緊張感を持たせて進めた作品なので、撮影現場でも脚本は少しずつ変わっていきました。

―マリを演じるにあたり気を付けたことは?

いつもは作品に入る前に用意したり役作りをどうしようと考えるんですが、今回は、モチーフになったスタンフォード大学の実験の「結果」が出ているものなので、「人間はこう変わってしまうんだ」ということを踏まえて、「だったらマリはどうなるんだろう」という逆算をしていきました。正義感を貫くというか、思ったことは最終的に言ってしまう部分は私も同じで、マリはけっこう似ているかも、と思いました。溜め込むんですけど、でも言わないといけないことは最後にドーンと言うタイプ(笑)。

―実験によって、人の本性が浮き彫りになっていきますね

マリは、弱いと思っていた自分が強くなるという変化はあったと思いますが、豹変したわけではなくて、本当の自分を見つけたといえるかもしれないですね。その中でも、中島健さんが演じたグレのように、常に一定というか、変わらない人もいるんだというのは発見でした。でも、強い人が弱くなって、弱い人が強くなって、カーストが生まれてくるあたりは面白かったですね。ある意味、なにも変わらない人のほうがミステリアスでこわいかもしれないですね。普通にしている人ほどどんな行動を起こすか分からない、というのも劇中で見られる展開なので、それも注目ですね。

―演じていてつらいことも多かったのでは?

閉ざされた空間で演技をしていて、役と同じように光もなければ時間の感覚もないので、体内時計はちょっと狂っていましたね。SNSに触れたくないな、という思いもあって、撮影中は携帯なども触りませんでした。ただ、家には帰れていたので、ゆっくりお風呂に入れるだけありがたいなと思いました(笑)。

―感情をあらわにするシーンもありました

普段、感情の起伏が激しいわけではないですし、これが正解なのかもわからず必死に演じていました。監督も「まだまだ、こんなんじゃだめだ!」と、ある意味で追い込んでくれたので、大変でしたけど、出来上がった作品を観て「あれでよかったんだ」と思えました。現場では、監督が一番、看守長っぽかったかもしれない(笑)。

―ご自身で「役割に呑まれる」という経験をされたことはありますか?

ちょっとニュアンスが違うかもしれないのですが、映画を観たあとに影響を受けますね。卓球の映画を観た後にすごく卓球をやりたくなる。ある意味、この仕事に向いているかもしれませんね(笑)。アクション映画を観た後は、私は何でもできるんじゃないか、って思っちゃいますね。

―今後、たくさんの作品が控えていますね

負けず嫌いな性格で、常に上を見続けていたいので、まだまだ満足していないという思いもありますけど、いろいろな作品でそれぞれ違った顔を演じさせていただいて、それがすごく自分の強みになっているなと感じています。この仕事を選んだ以上、何か求められたときに、どれにも100パーセント以上で返せるように常に準備していようと思っていて、「常に満足していない」という思いをずっと持っていたいです。

―最後に、作品を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします

主人公のマリの目線からもいろいろなものが見えますけど、ほかのキャストの方の目線から見てもそれぞれの見方ができるので、それがこの作品の一つの面白さかなと思います。看守目線、囚人目線、フラットな目線・・・観終わったあとにどう感じるかも人それぞれなので、ぜひ感想を教えてほしいです。

―ありがとうございました

堀田真由(ほった・まゆ)
1998年4月2日、滋賀県出身。
2015年の「連続ドラマW テミスの求刑」でデビュー。2017年にNHKの連続テレビ小説「わろてんか」で主人公てんの妹りん役を演じて話題となる。現在、ドラマ「べしゃり暮らし」(テレビ朝日系)が放送中。今後は、映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』『超・少年探偵団NEO -Beginning-』『108~海馬五郎の復讐と冒険~』『殺さない彼と死なない彼女』『ブラック校則』、ドラマ「受験ゾンビ」など数多くの作品の公開が控えている。

9月1日(日)に、本作のキャストが登壇する公開記念イベントを開催
【日程】9月1日(日)18:55の回
【登壇者】堀田真由/板野友美/前野朋哉/中島健/岩井拳士朗/芹澤興人/伊藤麻実子/立石晴香/岡部尚/宮下かな子/岡本智礼/近野萌子/渡辺謙作監督(予定)
【場所】シネマート新宿

ABOUT
7日間の実験で100万円の高額報酬――。人気VTuberソフィアの公開実験「監獄実験」の被験者に選ばれたマリ(堀田真由)は、4メートル四方の巨大な檻が鎮座する奇妙な実験室にいた。囚人と看守に分けられた被験者12人。看守となったマリだったが、優しさがアダとなり、囚人の暴走を許してしまう。怒り狂った看守たちは囚人たちをいじめ抜き、マリの立場も危うくなっていく。そして、ヒートアップする実験をさらにあおる13人目の存在・ソフィア。1日2回アップされる配信動画は、圧倒的な視聴回数を記録。配信を見守るマリの姉であるユマ(板野友美)は、夫のコウキ(前野朋哉)の助けを借り、マリを救出するべく動き出すが・・・。
配給:AMGエンタテインメント
公開日:8月30日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほかロードショー
公式サイト:https://prison13.com/
(C)2019「プリズン13」製作委員会