
取材・文=幸谷亮 写真=松林満美
―過去に共演されているということもあり、撮影中からお2人の仲の良さが伝わってきました。
佐野岳(以下、佐野) 作品で共演っていうのはそれ以来ですが、年に1回くらいはプライベートで会ってるもんね。
高杉真宙(以下、高杉) この間も佐野くんに誕生日を祝ってもらいました。僕を含めて3人しかいなかったんですが、それにしてはだいぶ盛り上がったよね。
佐野 そうだね。今回の作品ではずっと一緒のシーンだったので、仲がまた深まりました。
―芦塚監督からはどういうアドバイスがありましたか?
高杉 アドバイスではないんですが、一番最初の本読みの時に、役作りの一貫として「人狼ゲームをしよう」って監督から提案がありました。それぞれのキャラクターになりきってみんなで人狼ゲームをしたんです。
佐野 本読みで人狼ゲームなんかやったことなかったので楽しかったです。でも、高杉くんが人狼ゲームめっちゃ下手なんですよ(笑)。
高杉 台本のない即興芝居みたいなのが苦手なので緊張しちゃうんですよ。すごい考えた挙句、結局何も発さないのでいつもすぐ処刑されちゃって・・・。僕だけ「あれ? キャラ作りになんの役も立ってない?」みたいな感じでしたね(笑)。
佐野 僕はすごく助かりました。普段は撮影前に一人で役作りをしますが、今回はそれをみんなが集まった状態でできたので、それぞれのキャラクターの個性などをその場で確認しながら自分の役も固めていけたのかなって思います。そういった意味では、撮影にもすっと入っていけたような気がします。
高杉 たしかに、人狼ゲームのおかげでみんなとも仲良くなれた気がしますね。
―それぞれ、役と共通する部分はありましたか?
高杉 あんまり共通する部分はないんですが、唯一あるとしたら、集中したらそれに突っ走ってしまうところは似ているかもしれないですね。
佐野 普段の高杉くんとの関係性もあって、兄的存在のキャラクターは入りやすかったですね。
―普段の関係性がそのまま表現されているんですね。高杉さんは普段、佐野さんに相談とかもされるんですか?
高杉 話の流れからいくとそう思いますよね。ですが、僕は悩みがあっても相談しないタイプで・・・。何かに悩んでても「ま、いっかー」「なんとかなるかー」って適当に放置するタイプなんです(笑)。
佐野 そうなの? 意外だなぁ。結構、考え込んじゃうタイプだと思ってた。
高杉 多分、佐野くんのほうが悩んでると思うよ。繊細だもんね。
佐野 実はね(笑)。
―佐野さんは撮影中に細かい演出の部分なども積極的に提案をされていたそうですね
佐野 芳狼との関係性が垣間見えるようにしたかったんです。芳狼と小夜(堀田真由)と学食でうどんを食べてるシーンの時に、芳狼のうどんに入っていたなるとを勝手に食べたりして。あれは撮影前から考えていました(笑)。
高杉 最後の方に食べようって残しておいたんですよ。そうしたら食べられちゃいました(笑)。
佐野 あとは、芳狼の瞳が劇中に変化していくんですが、そんな芳狼を見るワタリの目も実は変わってるんですよ。そういう部分も意識して演じたので、ぜひ細かい部分にも注目して見ていただきたいです。
―出演者がみなさん同世代なので、和やかな現場が想像できます
佐野 和気あいあいでしたね。
高杉 佐野くん含めてみんなで割とワイワイしてましたね。
佐野 たしかに。夢野役の板垣(瑞生)くんがすごい天真爛漫で、ムードメーカー的な感じになってたかもしれないです。
高杉 夜の撮影もあって、しかも現場がすごく独特な雰囲気の場所だったんです。特に、青毛布の場所は、本気でドキドキしながら撮影に行きました。ここから何が起こってっていうのを想像しながら演じていたのを覚えていますね。そういう意味では、和気あいあいもしていましたが、集中するときは集中するなど、メリハリのある現場だったと思います。
―完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
佐野 音響やCGなどいろいろな効果もあって、台本を読んだ時や現場で芝居をした時とは全然違いました。世界観もより表現されているので、想像よりもさらに楽しく見れました。
高杉 どんな風に完成してるのかなってずっと楽しみだったんです。でも、その想像を超える作品に仕上がっていて感動しましたね。あとは、キャラがみんな濃すぎるんですよ(笑)。2年前に撮影したんですが、あの時のことを結構思い出しちゃいましたね。
佐野 たしかに、濃いキャラが盛りだくさんだから、そのへんも楽しんでいただきたいです。
―最後に、作品を楽しみにしている人にメッセージをお願いします
高杉 今回、出演させていだいてとても嬉しく思っています。少年探偵団シリーズを読んだことがなくても、年齢を問わず幼い頃のわくわくした感じを楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います。
佐野 出演しているキャラクターがみんな人間的なので、そういった部分にもぜひ注目して見ていただけたら嬉しいです。不器用だけど頑張って前に進もうとしている姿を見ると、「自分も頑張ろう!」って思っていただける作品に仕上がっています。家族の絆や友情なども感じていただけると思いますので、ファミリーや友達同士はもちろん、カップルでぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。謎解きもありますので、みなさんで考えながらご覧になってください。
―ありがとうございました
高杉真宙(たかすぎ・まひろ/写真左)
1996年7月4日生まれ。福岡県出身。
2009年に役者としてデビューし、2012年に映画『カルテット!』で初主演。2013年には「仮面ライダー鎧武/ガイム」で仮面ライダー龍玄を演じ、2016年には舞台「闇狩人」で単独初主演を果たす。2017年には映画『逆光の頃』で主演を飾ると、第9回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞。同年に出演した映画『散歩する侵略者』では、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。その後も『ギャングース』『十二人の死にたい子どもたち』など、話題作に続々と出演。本年、『見えない目撃者』『笑顔の向こうに』に出演。11月9日より舞台「カリギュラ」への出演が控えている。
ヘアメイク=堤紗也香、スタイリスト=石橋修一
佐野岳(さの・がく/写真右)
1992年4月3日生まれ。愛知県出身。
第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。その後、2013年には『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』で初出演にして初主演を果たす。同年には「仮面ライダー鎧武/ガイム」でテレビドラマ初出演。近年の主な出演作品は映画『honey』『となりの怪物くん』『ふたつの昨日と僕の未来』、ドラマ「スキャンダル専門弁護士QUEEN」(フジテレビ)、「仮面同窓会」(東海テレビ・フジテレビ系)など。
ヘアメイク=菅野綾香(ENISHI)、スタイリスト=津野真吾(impiger)