
―それぞれが演じたキャラクターの“魅力”を教えてください
渋川清彦(以下、渋川) 魅力といっても、まさに“下衆”な人物ですからね(笑)。でも、テツオはひとつ、本気で好きなことがあって、そのためならなんでもやるというところがカッコいいんじゃないですかね。
岡 野真也(以下、岡野) ミナミは女優になりたくて上京し、いろんな経験をしていくのですが、そこで「私は女優だ!」って腹をくくるところが魅力ですね。 「私は女優になる」という台詞があるんですが、役者をやっていれば誰もが思っていることを、台詞で言えるって、ある意味、怖いなと思いました。でもそれが 役に対しての腹のくくり方だったので、もしそれが現実世界であっても、その時の気持ちがあればおかしくないと思います。
―撮影現場はどのような雰囲気でしたか?
岡野 前半はおとなしかったミナミが、後半にはインパクトのあるシーンばかりだったので、そもそも現場の空気を感じている余裕はありませんでした(笑)。撮影は1週間くらいで、わりとぎゅっと詰めて撮ったのですが、シリアスではなかったしピリピリもしてなかったですね。
―完成した映画をご覧になって、印象に残ったシーンはどこでしょうか?
渋川 個人的に嬉しかったのはタイトルバックにかっこいい音楽と煙草を吸っている姿が流れたことですね。いわゆる「映画!」という感じでとてもかっこよかったです。
―真に迫ったシーンが多い印象でした
渋川 響子に叩かれるシーンは本当に痛かった(笑)。腰が入っていたからすごく重たいんですよ。(効果)音はほぼ生音です。
岡野 私も叩いたり、乱暴にされるシーンがあって、もともと台本にはなかったシーンだったんですが、監督にその場でやってって言われてがんばりました。その分、やっぱり生々しさはありますよね。
渋川 アクションに関してはその時その時に話して決めましたが、割とぎゅっと書かれていましたね。
岡野 撮影する前に監督に、目の前で転がって芝居している役者を撮りたいと言われていたので、いい意味で意識をしているものになっているんじゃないかなと思いますね。
―終わり方も、非常にインパクトがあるというか、気になる感じになっていますね
渋川 あれはやっぱり監督のセンスですよね。最初に書いてった台本の内容とは変えたんですよ。監督が「やっぱり(この終わり方じゃ)嫌だ」ということになって(笑)。僕はけっこう好きですね。
―最後にメッセージをお願いします
渋川 キャラクターがいっぱいて、それぞれが個性が強いので、そこを楽しんでほしいですね。
岡野 タイトルで敬遠する方がいるかもしれませんが、内容的には面白いですし、少年漫画の原作を見に行く軽い気持ちで見にきてください。
渋川 言っておきますけど、ぼく自身はテツオみたいなことしませんよ(笑)。「映画の業界ってこんな感じなんだ」って鵜呑みにされても困るので、この映画はファンタジー映画として見てもらえればと思います(笑)。
―ありがとうございました
渋川清彦
1974年、群馬県渋川市出身。
男性ファッション誌でモデルとして活躍。1998年に映画『ポルノスター』で俳優デビュー。以降、『青い春』『ナインソウルズ』『フィッシュストーリー』など数多くの映画に出演。マルチな演技に評価が高く、2016年は『蜜のあわれ』『テラフォーマーズ』が公開。
岡野真也
1993年、栃木県出身。
中学1年生のときに女優の道を歩み始め、テレビ、映画、舞台、CMなどに出演。主な出演作に、『飛べないコトリとメリーゴーランド』『アナザー』『俺俺』『図書館戦争-THE LAST MISSION-』などがある。