
写真=三橋優美子
―まずは、常に新しいことに挑戦されるJホラーの第一人者・清水崇監督作品に出演されることへの思いを聞かせてください
最初にお話をいただいたときは、あの清水組に参加できるって本当に光栄なことだなと思いました。ただ、ホラーといえど、完全なフィクションというよりは、実在する土地や都市伝説がモデルになっているので、一瞬、こわくなりました。私自身は、幽霊を見たこともないですし霊感があるとは思っていないのですが、まさか自分がこんなにも本格的なホラーに挑戦させていただけるとは思っていませんでした。
―実在するモデルがある、というのは清水監督作品の中でも大きなポイントですね
撮影は、実際の犬鳴トンネルだけでなく、いくつかのスポットで行われたんですが、どこもネットで調べてみると、なかなか・・・なかなかのトンネルで(笑)。「やっぱりトンネルって、そういうのあるんだ」って思いました。フィクションなのかノンフィクションなのか、撮影現場でも、監督はかなり攻めてたと思います。
―具体的にどのような進め方だったのですか?
事前の打ち合わせはあったのですが、そこでは細かいキャラクター設定などはなく、まずは現場に行って撮ってみよう、というところからスタートしました。私のシーンは、作品の前提となる部分というか、このエピソードをもとに話が展開していくので、その見せ方は現場で入念に話し合いながら進んでいきましたね。観てくださる方をこの『犬鳴村』の世界に引き込まなければいけない役回りなので、より恐怖を感じられるようにがんばりました。軽い気持ちでこの世界に足を踏み入れるという、観客に一番近いポジションだと思ったので、より感情移入しやすいような人物になれるように意識しました。
―かなり激しい動きもありましたが、怪我などはしませんでしたか?
しましたよ(笑)! もうアザだらけでした。部屋に帰ってお風呂に入るたびに「あ、アザが増えてる」って(笑)。エネルギーを使うシーンが多くて。現場に入る前にワイヤーの練習もしましたし、アクションチームがついてくれて、段階を追って準備をして撮影に挑みました。頭も体力も使いましたね。でも、体も使って声も出したほうがテンションが上がるので、よかったです。
―単純な「ホラー」を超えた深みのある作品になっていますね
ただ驚くだけの恐怖ではなくて、「血筋」という物語の軸もあるし、考えさせられる部分がある映画です。かといって劇中に答えがあるわけでもなく、それぞれに捉え方がある、感情が引き出されるような映画だと思います。
―出来上がった作品をご覧になっていかがでしたか?
みんなで試写会に行って観ましたが、「さすが清水監督!」と思いました。本当に細かいところまで仕掛けがあって・・・、さかさまに見たら実は・・・とか、画面のはじっこのほうに何かがスッと通りがかったりとか。そういうのに気付くとゾッとしますね。エンドロールも含めて見過ごせないです。
―大谷さんご自身、成人を迎えられて、今後どのように歩んでいきたいと思いますか
前作もホラーとサスペンスが融合したような作品だったので、“二度あることは三度ある”というので、同じようにホラーに挑戦してみたいとも思いますし、まだ制服も着れるかなとも思ってます(笑)。今のうちに制服を着る作品に挑戦しておきたいですね。でも、やっぱり観ていただいた方になにかを残せるような作品に出たいです。『犬鳴村』はまさにそんな作品だと思うので、そんな出会いも今後できるといいなと思います。
―出られる作品ごとに新しい一面が見えているように思います
気付かれないことが多いですね(笑)。この作品で知ってくれた方、あの作品で知ってくれた方、それぞれ印象が違うと思うので、それはそれでうれしいことですよね。
―外国語の練習もされているとおっしゃっていましたね
コミュニケーションを取れるくらいになりたいですね。まわりに留学する人も多くて・・・留学となると時間的にも難しいですけど、じっくり時間をかけて現地で勉強できるのっていいなと思うことはあります。
―清水監督作品は世界中から注目されていますからね
そうなんです。より“勉強したい欲”が出てきますよね。海外の映画祭で流ちょうに挨拶してみたいです。昨年、中国の映画祭(第3回平遥国際映画祭)で三吉彩花さんがレッドカーペットを歩かれているのがすごくかっこよくて・・・もし私も行けたら、きっと見える世界がどんどん広がっていくんだろうな、と思いました。今はYou Tubeを見て勉強します!
―最後にメッセージをお願いします
『犬鳴村』は、「ホラー」として一括りにはできない作品に仕上がっています。本当に仕掛けがいっぱいあるので、それを探すには1回観ただけでは足りないと思います。Ms.OOJAさんの主題歌の「HIKARI」も、作品にすごく刺さる曲なので、「この映画を観てよかったな」と必ず思える仕上がりになっています。一人で観るもよし、誰かと観てもよしなので、いろいろな方に観ていただきたいと思います。
―ありがとうございました
大谷凜香(おおたに・りんか)
1999年12月24日生まれ、宮城県出身。
2012年、第16回nicolaモデルオーディショングランプリ受賞。2015年から「ポケモンの家あつまる?」(テレビ東京)にレギュラー出演中。2018年、映画『ミスミソウ』で映画初出演。配信中のFODドラマ「乃木坂シネマズ~STORY of 46」に出演。