
写真=三橋優美子
スタイリスト=伊達めぐみ(UM)
ヘアメイク=Aico
―ヘンリ・ミトワという人物をどのように演じましたか?
ミトワさんご自身を忠実に演じるというよりは、中村監督が思い描く人物を演じていくほうに近かったです。監督からお話を初めて聞いたとき、その熱さに圧倒されて、出来上がった作品を見たら「あの情熱がこう形になるんだな」と実感しました。一人の視聴者として映画を見ている感覚ですね。
―すごい熱量を持った作品ですね
僕自身、たくさん映画に出ているという訳でもないので、僕を選んでいただいたからには全力でやらせていただこうという、「情熱に情熱で返した」という感じでした。人物に興味を持ちましたし、「似てる」と言われ続けてもいたので、そういう方がいることを知ることができただけでも財産ですし、作品を作り上げるという情熱を持ったスタッフさんたちと仕事ができたことが素晴らしい経験でした。
―ドキュメンタリー+ドラマ+アニメという異色な作品です
一体どんな作品が出来上がるのか想像がつかなかったですが、同時に「絶対に大丈夫だ」という確信もありました。「ジャンル分けできない映画」と紹介されているみたいですが、「どうぞ体力のあるときに見てください」とご紹介したいです(笑)。ミトワさんにパワーがあり過ぎて、見ている途中で一時停止したくなるかもしれません(笑)。そこが魅力だと思います。中村監督のすさまじいパワーも、スクリーンからあふれ出てきます。
―印象に残っているシーンはどこですか?
たくさんありますが、家族のシーンは印象的かもしれないですね。不思議な感じです。日本家屋の中で英語が飛び交っていて、日本語も英語寄りの発音で。でも、あの家族の精神的な部分からは古くからの日本の考え方を感じる。でも英語。そんな違和感がありながらスッと心に入ってくる感じ。そこは面白いですよね。
―チャド・マレーンさんと兄弟役を演じました
純粋な外国人である彼と僕とでは、本作に対する感じ方も違うんだろうなと思いながら撮影していました。同じように「ミトワさんってすごいね」と言っても、すごいと思っているポイントが違うんだろうな、というのがお互いにわかっていて、敢えて深堀りすることはなかったですね。
―本作を演じて、ご自身の考え方に変化はありましたか?
この作品に出演してから、「自分ってどうやって生きていきたいんだろう」と考えるようになりました。4歳からこの業界にいて、ありがたいことにお仕事があって、今に至っているので、普通だったら人生の中で考えるであろうその疑問を、放棄して生きてきたんじゃないかと思うようになったんです。ミトワさんは逆に自分の意志でしか生きてない。そのギャップを感じたのかもしれません。まあ、「お前も十分、自分の意志で動いてるよ」とお叱りを受けるかもしれませんけど…(笑)。これまでは、「将来こうなりたいから」とか、未来を描いてから判断することが多かったんですが、あまり未来を考えずに「今これがやりたい」と判断できるようになったかもしれません。何にもならないけどやってみたい、とか。
―これから先、やってみたいことは何ですか?
やりたいと思ったことは素直に「やりたい」と言って、同時に、それを実現できるだけの力をつけていくというのが大事だと思います。役でいうと…、もうちょっと内気でかわいい役がやりたいですね(笑)。でも、今回のようなエネルギッシュな役をいただけるのはうれしいですし、自分の糧になりますので、常に受け止められるようにしておきます。
―ありがとうございました
ウエンツ瑛士(うえんつ・えいじ)
1985年10月8日、東京都出身。
4歳でモデルデビューし、9歳で舞台「美女と野獣」で役者デビュー。その後、「天才テレビくん」をはじめ、「利家とまつ~加賀百万石物語~」や『キャプテントリオ』など俳優として活躍する一方、音楽活動やバラエティ番組への出演など、幅広い活躍を見せる。2007年の映画『ゲゲゲの鬼太郎』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
<衣装協力>
■TED BAKER LONDON/ベスト(¥27,750)、シャツ(¥17,900)、パンツ(¥27,750)
ネクタイ(¥12,050)、シューズ(¥24,250)
■フェアファクス/チーフ(参考商品)
■その他/スタイリスト私物