
ハリウッド映画を彩る映画音楽の名曲たちが誕生して観客に届くまでの制作過程を描いた音楽ドキュメンタリー『すばらしき映画音楽たち』が、「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」で公開されたことを記念し、映画・音楽ジャーナリストとして活躍する宇野維正氏を招いたトークイベントが6日、東京・新宿の新宿シネマカリテで行われた。
本作の感想を聞かれた宇野氏は、「映画をつくった監督の方が純粋にすごく映画音楽が好きなんだなということがストレートに伝わってくる作品で、とても面白く拝見しました」とし、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『ダークナイト』『インセプション』などの作曲を手掛け、デジタルとオーケストラを融合させた楽曲が代表的な“デジタル以降の映画音楽家の代表格”であるハンス・ジマーが劇中で「オーケストラを維持することは映画音楽にとっての生命線」と述べたことに触れ、「彼が言うことにすごく説得力を感じました。映画音楽におけるオーケストラは絶対になくしちゃいけないという意義みたいなものが、監督の意図を超えて生まれている感じがしました」と解説した。
また、「映画館で映画を見るのって、あの音量、あの音圧を感じるのが一番の理由なんじゃないかなとさえ思うんです。そうなったときに、それに相応するのは、トム・ホーケンバーグ(ジャンキーXL)やハンス・ジマーの音楽なんじゃないか」と語り、ハンスがクリストファー・ノーラン監督と手掛けた『ダンケルク』を例に挙げ、「低音だけじゃなくてオーケストラの良さを含めた“異次元ハンス・ジマー”が展開されている」と紹介し、本作を思い出しながらも、ほかの映画も新しい視点で楽しむ見方を提示した。