
日豪合作映画『STAR SAND―星砂物語―』の日本外国特派員協会での記者会見が10日、東京・有楽町で行われ、主演の織田梨沙、満島真之介、ロジャー・パルバース監督が登壇した。本作は、日本の沖縄を舞台に、平和への想いを込めてパルバース氏が書いた小説「星砂物語」を自らが監督となり映画化したもの。
ベトナム戦争に反発してアメリカを去ったパルバース監督にとって、「(戦時に)“戦わない”という裏切り」が生涯の主題となっており、本作は「1945年の戦時中、戦うことを拒否した“卑怯者”の脱走兵である日本兵(満島)と米兵(ブランドン・マクレランド)、そして彼らを見つめる少女(織田)の物語」だという。パルバース監督は、「昔からぜひ『脱走兵を英雄にしたい』と思っていたんです。悪い戦争で戦わない方が英雄的ではないかと」と映画化のきっかけを語った。
本作で初主演を飾った織田は、「この役を演じるにあたり、気がかりな点があって、それは、私は演技経験があまりないということと、日本の戦時中のことをあまり知らないということでした。(自身が演じた)洋海の感情をどう演じるかと悩み、撮影は簡単ではなかったのですが、皆さんのご指導のおかげで、各シーンをヒロインになりきって、演じることができました」と振り返った。
本作の舞台である沖縄出身の満島は、「東京で生まれ育った同世代の方々よりも、戦争の映像や体験談が身近にあり、今でも体の中に弾が埋まっていたり、手足がないおじいちゃん、おばあちゃんに当たり前のように会って過ごしていた中で、この映画の話が来た時に、すごく迷った」という。しかし、パルバース監督の熱意に心打たれ、「沖縄とアメリカを結ぶ未来へのメッセージとして、これから僕らが生きていく平成の時代、オリンピックで世界各国から観光客が来る日本に、何を残せるのかというのをちゃんと伝える映画にしたいなと思ったので、一緒に走り切りました」と、本作への思いを明かした。
本作は、2016年の夏に沖縄・伊江島で撮影が行われ、本年6月21日(水)より沖縄で先行上映、8月4日(金)より東京ほか全国順次公開される。