
写真=三橋優美子
公開中の映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の公開記念舞台挨拶が17日、東京・新宿にある新宿ピカデリーで行われ、主演の太賀、吉田羊、森崎ウィン(PrizmaX)、小山春朋、御法川修監督が登壇した。
本作は、漫画家でエッセイストの歌川たいじが自身の経験を基に綴ったコミックエッセイが原作。主人公のタイジを演じた太賀は、「生半可な気持ちではできないなと思っていました。やるからには、生きることがつらくて泣いていたタイジが、今日を懸命に生きている歌川さんにつながればいいと思った」と撮影に入るときの心構えを語った。また、ご本人が撮影中に自身でまぜご飯を作ってくれたり、何度も差し入れをしてくれたことを明かし、「母の愛を渇望していたタイジが、今は与えることを続けている。最後は、誰になんと言われようと、この人が喜んでくれればいいという思いで演じていました」と振り返った。
タイジの友人キミツを演じた森崎は、太賀とは十年来の友人。「僕、すげえ太賀くんのこと好きで。ラジオで、太賀くんは菅田将暉くんに嫉妬してるって言っていましたけど、僕は太賀くんに嫉妬してますからね。またいつか一緒にやりたいなと思わせてくれる俳優です」と尊敬の念を明かした。太賀は、「ダンスシーンがあるんですけど、経験がなくて、練習場のフロア中に僕の心が折れる音が響き渡ったんです。そんなときに、ウィンが手取り足取り教えてくれて、徹底的に寄り添ってくれたんです。本当に助けられました」と語ると、森崎は「そういうの大丈夫だから」と照れ笑いを浮かべた。
幼少期のタイジを演じた小山は、母親役の吉田に書いた感謝の手紙を朗読。小山が「羊さんは映画の中では怖いお母さんでしたが、現場では僕のことを思ってくれました。どうしたら僕が痛くないか、危なくないかを一生懸命考えてくれていました。羊さんが僕と本気で演技してくれて、認めてくれている気がしてうれしかったです。羊さんはとても優しい人だから、とても心が苦しかったと思います。羊さんがいたから、僕は最後までがんばれました。最後の日に抱きしめてくれてうれしかったです。直接言うのは恥ずかしいんですが、僕は羊さんが大好きです」と読み上げると、吉田は思わず涙をこぼし、「情がわいてしまうので、極力現場ではコミュニケーションを取らないようにしていました。でも、本当につらい思いをさせてしまったと思って、最後の日に抱きしめたんです。こう言ってくれて、母は本当に幸せです」とほほ笑んだ。
また、吉田は主演の太賀に対し「この映画への出演を決めたのは、主演が太賀さんだったから。現場での太賀さんは歌川たいじさんそのままで、彼の心の底から絞り出すような、地響きがするような芝居は圧倒的で、私の芝居なんか太刀打ちできなくて。彼と対峙できるような俳優にならなければいけないと襟を正される思いでした。タイジから頂いた感情もたくさんあります。本当にお礼を申し上げたい」と振り返った。
最後に太賀は、「タイジがたくさんの人に支えられたように、この作品が、みなさんに寄り添えるものになってほしい。もし何か心に残るものがあったら、ご自身の大切な方にすすめていただければと思います。歌川さんの人生がたくさんの人の人生に影響を与える、すばらしいきっかけになってくれればと心から思います」と挨拶した。