
写真=松林満美
―鈴木涼美さんの原作を読んでどんな印象を持たれましたか?
私たちの世代に共通してある感情が、冷静に、正直に書かれていて、すごく身近なことに感じました。女性らしい考え方と表現方法で書かれていて、私にとっては読みやすかったです。結論が先に書かれていても、そうではない別のパターンが後に長く続いたり、男性にとってはもしかしたら難しい本かもしれないですね。
―鈴木リョウコを演じるにあたり、どう工夫されましたか?
原作のエピソードが多く盛り込まれていますが、あくまで映画独自のキャラクターなので、あえて原作を読み込むということはしませんでした。リハーサルのときに監督とキャラクターについて相談した内容としては、いろいろなことに無感動、無反応だけども、性的なことにだけ異様に興味を示すという特徴。それに、原作にもある「もっと刺激的なものを探している」という感じを出そうとしました。意図していないですが、女性そのものに関心を示すシーンが多かったかもしれませんね(笑)。
―完成した作品を見た感想はいかがでしたか?
想像とはまた違う印象で、やっぱり映画はすごいなと思いました。ただ、反省点も多くて、自分では大きく演じていたつもりでも、「ああ、この程度にしか映ってないのか」と思ったシーンもありました。表情とかがそうですね。そんな中でも、ラストのシーンでは、本当の自分の気持ちを隠して強がっている表情が、自分自身の感情ともリンクして、よく表現できていたかなと思います。相手役の方もそれを感じ取ってくれたような気がして、リョウコの複雑な感情が読み取っていただけるのではないかなと思います。
―今後、どういった作品に携わっていきたいですか?
映像として「砂漠」が広がっているものがやりたいです(笑)。砂漠をさすらう民族とか、トレーラー生活をしている人とか、馬に乗って登場する人物とか…。海も好きなので、無人島でサバイバル生活というシチュエーションもいいですね。さらには、『レヴェナント:蘇えりし者』の女性版のような、野性味あふれる作品もやってみたいです。海外でお仕事がしたいという憧れもありますね。自分で脚本を書いてみようかと思います(笑)。
―アクティブなシチュエーションがお好きなんですね
自然と触れ合うのが大好きなんです。乗馬のライセンスも持っています。日本だとなかなか機会がないんですが、海外だと広い敷地で気軽に乗れたりするので、すごく楽しいですよ。夏が大好きなので、晴れているとすぐ外に出たくなりますね。泳ぎに行ったり、マリンスポーツ系も大好きです。夏は真っ黒になりますね。実は、本作の中でも日焼けをしているシーンが…(笑)。
―最後に、メッセージをお願いします
今の世代の方は誰もが持っている感情が表現されている映画だと思うし、もっと頑張りたいことやもっと本気になりたいことが見えるかもしれません。自分の本音と向き合う時間が少しでも持てるきっかけになるといいなと思います。かっこいい男性も出てきますので(笑)、女性の方を中心にたくさんの方に見ていただきたいですね。
―ありがとうございました
柴田千紘(しばた・ちひろ)
1988年10月24日、千葉県出身。
映画『恋の渦』が国内外の映画祭で絶賛され、俳優陣は第23回日本映画プロフェッショナル大賞の新人奨励賞を受賞。ヤン・イクチュン監督の短編『しば田とながお』で主演を務めたほか、『春子超常現象研究所』『リアル鬼ごっこ』『VILLEGE ON THE VILLAGE』など映画を中心に活躍。WEB小説や雑誌のコラムの執筆を手掛けるなど、多彩な才能を発揮している。