「それぞれの物語を通じて、いろんな人が変わっていく」/『トモシビ 銚子電鉄6.4kmの軌跡』松風理咲&植田真梨恵インタビュー

高校生ランナーと銚子電鉄との競争イベントを軸に、電車を支える人々と、電車とともに地元で暮らす人々との交流を温かく描く映画『トモシビ 銚子電鉄6.4kmの軌跡』が5月20日に公開される。銚子電鉄を盛り上げるため「高校生と銚子電鉄の競争」を企画する主人公・椎名杏子を演じるのは、本作で主演に抜擢された期待の新人・松風理咲だ。また、傷心を抱え銚子を訪れる女性・キミエには、シンガーソングライターとして活躍する植田真梨恵を配役。銚子の美しい風景と高校生たちのさわやかな青春が描かれる本作にぴったりのフレッシュな2人に、作品の魅力を聞いた。

写真=坂本康太郎

―全編、銚子ロケ。銚子の街はいかがでしたか?

松風理咲(以下、松風) 自然がきれいで、移動で銚子電鉄に乗った時も、地域の方々の結びつきが感じられて、あったかい場所だなと思いました。お互い面識があって、仲良くお話しされている感じに癒されました。

植田真梨恵(以下、植田) 私は大阪に住んでいるんですけど、街に入った瞬間、時間や空気の流れ方が全然違って、不思議な感覚になりました。街の細部まで素敵で、個人的にフィルムカメラを持って行ったんですが、どこを撮っても絵になるというか、いいなあと思いながらたくさん写真を撮りましたね。

―撮影の現場はどんな雰囲気でしたか?

松風 高校生メンバーといる時間が多かったのですが、みんな元気で明るくて、楽しい雰囲気でした。みんなすぐに仲良くなったので、本当の同級生のような感覚で撮影できたと思います。そんな雰囲気が、シーンからも出ているんじゃないかなぁと思います。

植田 そんな様子を見ながら「青春やなぁ」って思ってました(笑)。前野(朋哉)さんとご一緒するシーンが多かったんですが、私自身、お芝居が初めての経験だったので、教えていただきながらの現場でした。

―松風さんは初主演、植田さんは初の映画出演ということで、アドバイスなどはありましたか?

松風 富田(靖子)さんとご一緒するシーンでは、母娘なので、関係や距離感を確認し合いました。教えていただくというよりは、一緒に考えていただく感じでした。監督も、私自分から出てくる演技を尊重してくださる方だったので、やりやすかったです。

植田 シンガーで、心に傷を抱えているキミエという人物には、すごく自分と重なる部分があって、どこまでが「演じている」のかが分からなくなることがありました。あまり考えずに、その場その場で感じたことを乗せていくように演じようと思っていました。その上で、前野さんからご指導いただいたりしましたね。

―全編を通じて、一番印象に残っているシーンはどこですか?

松風 やっぱり駅伝のシーンですね。みんなの強い目とか、たすきをつなぐ想いとかを見ていただきたいです。あとは、冒頭のほうで、銚子の景色に植田さんの歌声だけが聞こえるシーンがあるんですけど、その声に圧倒されて感動しました。本当に素敵で…。

植田 恐縮です(笑)、ありがとうございます。褒め合うわけではないんですけど、高校生のみんなが体操服で走っているシーンが本当に美しくて、ひと際、輝いて見えました。物語としても、いろんな人のドラマが入り混じっているので、心の変化も感じられる内容だと思います。

松風 そうですね。駅伝などの、それぞれの物語を通して、人と人のつながりとか、その人自身の感情とか、いろんな人が変わっていくので、そこに注目していただきたいです。

植田 失われかけているものを大切にするような、そしてそれを取り戻すようなメッセージがある作品だと思うので、ぜひ、銚子のきれいな景色と、高校生たちのきれいな姿に癒されていただきたいです。

―ありがとうございました

20170517-01_sub01左・松風理咲(まつかぜ・りさき)
2001年1月17日、岐阜県出身。
CM「東京メトロFind my Tokyo.~私を惹きつける池袋篇」、WEB映画『そちらの空は、どんな空ですか?』(ネスレシアター on YouTubeで公開中)で女優デビュー。ドラマ「グッドパートナー」で連ドラデビューを果たす。

右・植田真梨恵(うえだ・まりえ)
1990年9月22日、福岡県出身。
シングル「彼に守ってほしい10のこと」でメジャーデビュー。女の子特有のファンタジックと現実感がないまぜになった歌詞とシンプルでストレートなのに耳に残るメロディー。あふれる感情ごと解き放つかのように全身全霊で歌う。本作にて長編映画初出演。

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ABOUT
高校生の椎名杏子(松風理咲)は、父を亡くし、母(富田靖子)と2人で銚子の街で暮らしていた。彼女が企画した「銚子電鉄と高校生ランナーとのレース勝負」が、地元メディアにも注目され、地元の期待も高まる中、最後のランナーが決まらず焦る杏子。時を同じくして、人生に疲れ果て、ふと銚子を訪れたキミエ(植田真梨恵)の美しさに目をとめる電車撮り鉄青年の熊神(前野朋哉)。荒れた生活を送るキミエを世話する羽目になった熊神だったが、キミエを少しずつ理解し、徐々に2人の距離も近づいていく。一方、銚電の名にかけて勝負に負けられない銚子電鉄側では、万全の準備を期していたが、まさかの部品故障が発生。運転士の磯崎(有野晋哉)がレースを諦めかけた時、母と親しくする磯崎を疎ましく思っていた杏子は…。
配給:トモシビパートナーズ
公開日:5月20日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式サイト:http://tomoshibi-choshi.jp/
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