
写真=松林満美
―脚本を読んだときの感想を教えてください
本当に面白いなと感じました。ショッキングなシーンから、感動のラストまで、全体の流れに引き込まれて、「これはいい映画になる」と純粋に思いました。
―その中で、賢次は重要なキーマンとなりますね
リリー(イレブン・ヤオ)と出会う前は何に対してもイラついていて、尖った部分もあったのだけど、リリーに出会ったことで少しずつ変化していく…、というのを、少ないシーンの中でうまく表現できればいいな、とSABU監督とも話していたので、その点に気を付けて演じました。
―賢次の人柄はどのように演じたのですか?
まず、そんなに賢い人間ではなく…(笑)、「ウォー・アイ・ニー(中国語で「愛してる」)」という言葉を覚えたら、ずっとそればっかりを言っているような単純な男です。実際にそういうシーンもあるんですが、言っているうちに、だんだん自分でも恥ずかしくなってきちゃいました(笑)。自分も、同じ言葉を繰り返しちゃう気持ちがわかるので、演じやすかったです。
―言葉の違いで苦労した点はありますか?
役としても、お互いに言葉がわからないところから始まっている関係性だったので、その状況をうまく生かしてリアルな距離感を表現できたらな、とは思っていました。イレブンさんも日本語はあまり話せなかったので、「これなんて言うの?」と聞いて中国語を教えてもらったりしながら、撮影外でも、役と同じように少しずつコミュニケーションをとって距離を縮めていくような感じでした。
―映画が、日本と台湾の文化交流にもつながるといいですね
けっこうショッキングな内容でもあるのですが、人と人とのつながりがすごく大切だと気付かされる映画でもあると思うので、ぜひ日本の方にも台湾の方にも見ていただいて、交流が深まると嬉しいです。血のつながりを超えた、地域の交流の物語でもあると思うので、そういうのもとても大切で、あったかいなと思いました。ぜひ多くの人に見ていただき、感じていただきたいです。
―完成した本作をご覧になって、一番印象的なシーンはどこですか?
せっかく立ち直ったリリーの生活が一変してしまうシーンですね。とても心が締め付けられるというか…。そのあたりの演出が巧みで、切ないですね。
―多くの作品に出演されていますが、心がけていることは?
そうですね…。「こんな人、いないだろ」という極端な役でも、「自分を使う」というか、あくまで“人”であり続けるようにはしているかもしれません。ゼロから役を作り上げるというよりは、自分から役に寄せていくというか…、結果としてそういうふうになっているかもしれません。
―今後、挑戦してみたい役柄やジャンルはありますか?
とにかく映画にたくさん出たいですね。映画をもっと勉強したいです。映画も演技も。“殺人鬼”みたいな役柄はまだやったことがないので、挑戦してみたいです(笑)。
―最後にメッセージを
台本を読んだ時から絶対にいい作品になると確信していましたし、出来上がった映画を観て、最後のシーンで感動してしまったので、みなさんもぜひ映画館で感じていただきたいです。
―ありがとうございました
青柳翔(あおやぎ・しょう)
1985年4月12日、北海道出身。
2009年に舞台「あたっくNo.1」で俳優デビュー。2012年、映画『今日、恋をはじめます』で第22回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。2017年5月に公開した主演映画『たたら侍』では第40回モントリオール世界映画祭「最優秀芸術賞」を受賞。2016年、「HiGH&LOW ORIGINAL BEST ALBUM」の収録曲「Maria」で歌手デビュー。現在、3rdシングル「Snow!」が発売中。
ヘアメイク=鵜飼雄輔
スタイリスト=佐藤修一