「いつでも輝いていることがみんなにとって幸せなこと」/『こいのわ 婚活クルージング』片瀬那奈インタビュー

広島県庁が少子化対策の一環で行っている結婚支援プロジェクト「みんなでおせっかい!『こいのわ』プロジェクト」を題材にした映画『こいのわ 婚活クルージング』が公開した。広島を中心に、尾道や呉、福山などでロケが行われ、のべ700人の市民エキストラが参加した本作。風光明媚な瀬戸内海など美しい風景も見どころの本作で、元ご当地アイドルの編集者・山本ナギを演じた片瀬那奈に話を聞いた。

写真=松林満美

―広島での撮影はいかがでしたか?

実は広島にけっこうゆかりがあるんです。友人の実家があることもあって10代のころからよく行っていました。すごくパワーをもらえる街で、気が合う場所です。歌手として活動しているときは、広島で歌詞を2本書きました。今作の舞台が広島ですごくうれしかったです。撮影当時、ちょうど広島東洋カープの活躍で盛り上がっていたので、街中が真っ赤でしたね。活気にあふれていて、撮影にもたくさん協力していただきました。

―地元の方も、エキストラとして大勢出演します

野球を観戦するシーンでは、本当にカープが大好きな方々が集まられていたので、いろいろと案内していただいたり、説明していただきました。私はサッカーには詳しいんですが、野球はそこまでではなかったので楽しかったです。お店の方など突発的にご協力いただいた方もいたり、お菓子を差し入れてくださった方もいたり、すごく感謝しています。

―ご当地ネタや観光スポットも登場するので、行ってみたいと思う方も多いでしょうね

そうですね。広島の有名なスポットも押さえていますし、瀬戸内方面や愛媛・今治に近いエリア、レモン畑、きれいな海など、広島市内だけではない素敵な場所が登場するので、ぜひ広い範囲で遊びに行ってみてほしいです。

―風間杜夫さんとの共演について

優しくて穏やかで、ジョークも言ってチャーミングな方なので、それが誠一郎の役にエッセンスとして利いていたと思います。わーわー言いながら、でもやるべきことはやっているし、アグレッシブで、案外、柔軟でわかりやすい人なので(笑)、誠一郎は好きなタイプですね。撮影の合間に、八嶋(智人)さんに「みんなで宮島に行こう!」と言われたことがあって。私はちょうど少し休もうとしていたときだったんですけど(笑)、行ってみたらすごくきれいで楽しかったです。そのあとの撮影が和気あいあいとするシーンだったので、そのままの雰囲気で臨めたし、行ってよかったと思いました。

―ナギは片瀬さんご本人に近いように見えるのですが、役作りは?

正直ほとんどしていないです。もともと役に入り込むタイプではなくて、まわりの空気感に合わせてその場で作り上げていくことが多いのですが、特に今回については「ほぼ私だな」という感覚が強かったです。私が婚活したらこうなるだろうな、という感じで、「お芝居をした」という感覚はなかったですね。いままでにないような不思議な感じでした。純粋に旅行を楽しませていただいているような(笑)。

―どういう方に見てほしいですか?

全世代の方に見ていただきたいのはもちろんなんですが、「最近歳も取っちゃったし、恋愛するのもなぁ…」という方がいれば、ぜひ見ていただきたいです。人生や人との付き合いにおいて、恋をすることって活力になるし、「どうせ」と思わず「せっかくだから恋を楽しんでみよう」くらいに間口を広げてほしいなと思いますね。婚活パーティーというのも、「結婚するぞ!」という勢いで参加するだけではなくて、ちょっと気の合うお友達を探してみよう、という感覚でいたら、案外素敵な出会いが広がると思います。

―広島県庁が支援をしていて、その取り組みがモデルになっているんですよね

そうなんです。実際、県知事さんにもお会いしたんですが、ご自身も子育て休暇を取られるなど、地域全体で結婚や子育てを後押ししているんですよね。街全体がそういう取り組みをしてくれるのは素敵なことだと思います。「おせっかい」というのを合言葉にしているんですけど、“いいおせっかい”で、大人になるとなかなか踏み出せない部分を後押ししてくれている感じですよね。

―物語で一番の見どころはどこだと思いますか?

大人だからこそ、気持ちの面や世間体などで素直に言葉にできない葛藤がいろんなシーンに出ているんです。若い子なら「好き~!」って言って抱きついたりできるんでしょうけど(笑)、なかなかそうもいかなくて、でも思いを伝えなきゃって勇気を振り絞って…、甘酸っぱさとほろ苦さの入り混じった感覚というか。ラストシーンは、監督ともすごく話し合って、セリフもかなり変えました。一番苦労したシーンかもしれません。

―随所にそういった葛藤が見られますね

この映画を経験させていただいて、やっぱり恋愛はいくつになっても恋愛なんだなって思いました。大人になるとしがらみとかいろいろあると思うけど、結局そんなのは関係なくて、恋愛の仕方も変わらないし。かわいく恋愛していたいな、と思わせてくれる作品だと思います。恋でも仕事でも、腐っちゃうのが一番よくなくて、いつでも輝いていることが自分にとってもまわりにとっても幸せなことだと思うので、何かに迷っている方は、思い切って一歩を踏み出すきっかけにしてほしいです。

―ありがとうございました

20171124-01_sub01片瀬那奈(かたせ・なな)
1981年11月7日、福岡県出身。
1998年にモデル活動を始め、1999年「美少女H2」で女優デビュー。金子修介監督作品には、2006年の『デスノート the Last name』以来の出演。ほか、映画『20世紀少年』シリーズ、『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『海月姫』『アイアムアヒーロー』、ドラマ「オンナミチ」「マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~」などに出演。2011年より、情報番組「シューイチ」のMCとしても活躍

ヘアメイク=面下伸一(FACCIA)
スタイリスト=大沼こずえ

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ABOUT
歩きスマホの衝突を防ぐ電子機器の開発で大儲けしたものの、ある日突然、社長を解任されてしまった門脇誠一郎(風間杜夫)。心機一転、第二の人生をともに歩むパートナー探しを始めるが、最初にお見合いした美人編集者・山本ナギ(片瀬那奈)は実は取材が目的で、2人は大喧嘩になる。その後も誠一郎の前には高齢出産をあきらめない女医、シングルマザーやトランスジェンダー、後妻業疑惑のある美魔女など、ひと癖もふた癖もある女性たちが現れる。一方、ナギも年下のイケメンにアタックされるが、なぜか誠一郎のことが気になってしまう…。
配給:KADOKAWA
公開日:角川シネマ新宿ほか全国順次公開中
公式サイト:http://koinowa-movie.jp
(C)2017「こいのわ」製作委員会